スタジオアリスの話。今、webを見直したら上の通り、スタジオアリスも写真道場と同じ30周年。なので、我が写真道場の30年(スタジオアリスより1年遅れですが)の歩みとの違いを省みるに、いかんんともしがたい思いにかられるわけです。ここでちょっと、スタジオアリス前史から。

 スタジオアリスのwikiページを見ると、下記のようにあります。

1974年 – 株式会社日峰写真工芸として、大阪市福島区に設立。DPE店の1号店をオープン。
1976年 – 株式会社日峰に社名を変更。
1981年 – DPE店のチェーン本部を開設。
1986年 – レンタルビデオ店の1号店をオープン。
1987年 – 本社を大阪府吹田市に移転。
1992年 – こども写真館の1号店をオープン。
1993年 – DPE店の店名を「グリーンBOX」に統一。
1994年 – こども写真館の店名を「こども写真城スタジオアリス」に統一。
1995年 – 富士写真フイルム(後の富士フイルムホールディングス)のグループ企業と合弁で、株式会社アリスを設立。

 善し悪しは別にして、「ビジネス」として写真館を始め拡大してきた、ということがよくわかります。写真が好きで面白くて、というところから始めた私や、多くの個人写真館とは毛色がちがいます。もちろん、前者の方が一般的な顧客サービスとしてはよりよいものができるのが世の常でありまして、後者は自分の趣味に流されて往々にして失敗することは、他のジャンルでも歴史が証明しているところです。

 ところで、実は私と家内は10年くらい前に、「調査」と「趣味」を兼ねて、近隣のスタジオアリスで撮影していただいたことがあります。二人で結婚写真を、という希望を伝え、衣装選びから着付け、撮影、セレクト、仕上げまで5000円くらい(破格!)のパッケージプランでした。しかしまあ、一度いったことがある方ならおわかりいただけるよう、3000円予算で入店し、店をでる時には5~7万円、あるいはそれ以上の出費になって、それでも大満足というスタイルのお店です。こうした前知識がありますから、できるだけ最低料金で済ませることを誓ってお店に入ったのですが、「ここまでやってもらったら申し訳ない」という気持ちになって、結果1万5千円くらいの出費になりました。仕上げはガマンにガマンをしてA42面台紙一つだけですが。しかしもちろん、この仕上がりには満足しています(アリス的仕上げという含みはありますが)。体験としても面白かったし、お店のサービスを見せていただいたのも勉強になりました。

 で、ぶっちゃけどんなサービスかだったを整理すると下記のようになります。

1)衣装は選び放題。ただ、最安プランでは選べる衣装に制限があり、それなりのものを選ぶと加算されます。

2)着付け、撮影代、基本的な仕上げも料金内に入っていますから、安心。ただ、基本料金には1面台紙1枚くらいしか含まれませんから、いろいろなシーンを撮影しても基本料金内では1枚しか手にはいりません。

3)スタジオはいくつかのブースに仕切られていて、それぞれに異なるイメージの建て付けの背景が作れています。これらを順繰りにまわることで、複数のシーンでの撮影ができます。お客様の数が多くても、流れ作業的に撮影できるのもメリット。衣装や建て付けの背景は季節ごとに入れ換えするので、行くたびに新鮮な撮影が楽しめます。

4)撮影は若い女性。着付けも同じ方だったかもしれません。聞くところによると、保育士の資格をもっていたりする方もいるようです。端的に、偉そうにしている年配のおっさんに撮られるよりは、はるかに感じがいいです。

5)撮影が終わったらしばらく待って、あらかた整理されたデータをモニタで見ながら写真のセレクトをします。これは別の女性が担当します。自分で撮影していないから、客観的、冷静な判断ができる、ということはあるでしょう。また、データ処理(編集)や仕上げの作成はデータを転送して別の部署で実施することて、効率的に高品位なものができます。

6)複数のシーンで撮影していますから、やはりいろいろ欲しくなるのが人情。子供の写真ならなおさらで、祖父・祖母を連れていったり、かれらにプレゼントをすることを考えると、仕上がりが増え、予算も増えることになります。しかし、それでも十分満足できる仕掛けになっています。

 というわけで、お客様にとっては、とにかくよくできている仕組みです。すばらしい。逆に、これらの良さの裏側を考えると継ぎのようになります。

1)衣装は選び放題ですが、子供に人気となるとだいたい流行りのアニメなどに集約されるので、お友達なんかと被る可能性が大きいそう。

2)背景と衣装、ライティングなど撮影セットが決まっているので、最低限の訓練でほとんどの人がフォトグラファーになれます。ポーズを付けること、リラックスさせること、ピントを合わせること、だけに集中すればよいのですから。撮影よりも着付けの方がはるかに難易度が高く熟練も必要でしょう。

3)写真セレクトは予算を考えておかないと、ちょっと怖いことになります。しかし、踏み絵と同じで、対象は愛するもの写真ですから、ばっさり捨てるというのもできにくいのが人情。

4)写真の仕上げは、本人を見たこともない方が行いますから、本人らしさがなくなったり、本人の希望が届かないこともあります。が、こういうこだわりがある人はこういうスタジオでは撮影しないかもしれません。

5)スタジオアリスは、ゴルフコンペも開催したりする全国区の大企業といっていいでしょうが、見かける従業員は若い女性が多いです。30年という歴史から考えるに、若い女性が多いというのは不自然であって、「回転」が早いのかなぁ、と思ったりします。ちいさな子供を持つお客様から考えると、すごく安心できることではありますが・・。

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 ともあれ、ビジネスということで考えると、背景と衣装、照明などの「設備」+着付け・撮影・仕上げの「技術」、これらを統括する「企画・運営」の三本立てで、たいへんシステマチックにできていることがわかります。だいたい、お客様のは「撮影」、つまりフォトグラファーの女性にもっとも目がいくかもしれませんが、全体の中で「撮影」のしめるウェイトって、実は微々たるものなのです。カメラが自動化し、デジタルになって、撮影の技術的な敷居がどんどん低くなっていることもあるでしょう。

 総じて、スタジオアリス的な撮影ビジネスの方法は、平成30年を通して一気に広まり、ちいさな個人写真館は壊滅状態になり、比較的大きな写真スタジオも同じような方法を始め、さらには貸衣装、大手カメラ店などがどんどん参入して、今に至る、という次第。

続きます