前回までに書いたよう、子供写真館の始まりはスタジオアリスで、こちらは主にショッピングモールなど家族連れが多く集まる場所に出店することで全国規模になりました。

 これに対して、記憶はちょっと怪しいのですが、十数年前くらいに空き家などをスタジオにリフォームして建て付けの背景を作り、子供になじむ小道具と着替えを用意した「ハウススタジオ系」の子供写真館ができ始めました。最初は韓国資本だったんじゃないかなぁ。冷やかし半分で資料を取り寄せたら、以下のような内容だったように覚えています。

 自宅の空き部屋、所有している空き家などを使ってリフォームします。カメラの知識は不要で、運営会社が主催するセミナーで学ぶことができます。リフォーム工事や着替えや小物などは親会社が用意。ここまでの出費、数百万~一千万円くらいは個人持ち。集客は自分でやるだけでなく、親会社がネットを通して行いますので安心、という感じ。例えがいいのか悪いのかわりませんが、借金させて辞められないようにして、生かさず殺さずで仕事を回して親会社が儲けるような仕組みっぽくて、これは怖いなー、と思いました。親会社が撤退したら借金だけが残る、という。建て付けの背景や小物は、ある程度で新しくしないといけませんから、それはいったい誰が負担する? とか・・・。

 これとは違いますが、昨年、近隣に一軒家を使ったハウススタジオが新しくできました。もともと、外国語なんかを学ぶ塾のような営業をしていた一軒家でして、個人の住居ではなかったかもしれません。そこが、気付いた時にはスタジオに変わってちょっとびっくり。

 このスタジオの工事中に検索して調べたら、近くで保育園や学童保育をやっている会社がやっていることがわかりました。さもありなん、と納得したまではよかったのですが、あっという間に私のfacebookページにこのスタジオの店長募集という宣伝がでるようになりました。え? 工事中に店長を募集しているの? と同時にfacebookの広告ってすごい、と驚いたものです。今調べたら、若い女性が入っているみたい。よかったよかった。

facebookといえば、これ以外でロケ撮影などのフォトグラファー募集、経験不問、というのもよく出てきます。フォトグラファーにたくさん登録してもらって、ネットで集客。お客様のいる地域の登録フォトグラファーを派遣、というビジネスモデルも多くなりました。もともとこういうモデルは広告業界ではアマナなどがやっています(私自身もパノラマ撮影関連で登録実績あり、です)が、どこの馬の骨ともわからない個人フォトグラファーに依頼するよりは、大手が仕上がりを担保してくれるので、顧客側からは安心です。

 考えてみれば、楽天やアマゾンで買い物をするのと同じかもしれません。個人商店のサイトに直接発注するよりも、比較可能で品揃えが多く、大手がやっているので安心です。確かに、顧客側からはメリットがいっぱいあるのですが、その実、出店したりサービスを提供する側にしてみれば、常に競争を余技なくされ、顧客情報も自由にならず、価格やサービス内容も自分自身で自由に設定できない(できたとしても成功したら、そのノウハウは運営会社がもっていく)わけです。反面、集客やサービス内容を自分で考えないでよい、という気楽さがあって、カメラを準備するだけでよいですから参入障壁はないに等しく、誰でもフォトグラファーになれます。なので、運営側は登録フォトグラファーに事欠くことはありません。ある種、夢を与えてあげればよいだけ・・・。

 でも、怖いなー。とか、こんなんでいいのかなぁ、と思ってしまうのは、ほぼ40年くらい前に写真学校に通って、やっとこさカメラマン仕事にありつけたような時代の人間だからなんでしょうかねぇ。