第 7 回目・デジタルカメラを使いこなす (1) 「カメラの機能を使い倒す」

似顔絵 デジタルカメラにさまざまな機能が搭載されていることは知っていても、「実際に使ったことがない」とか、「どんな時に使えばよいのか分からない」といった印象を持っているユーザーはかなり多いはずです。

 なぜなら、たいていの被写体は、オート機能任せで十分きれいに写せるのです。細かな設定を変えることで、思っているのとは違った効果になってしまうリスクを考えると、なかなか手が出ないのも人情でしょう。

 でも、さまざまな機能を必要に応じて使えば、撮影の効率や画質がさらに良くなったり、今までにない愉しさを味わえます。時間のあるときに一つずつ試してみましょう。

7.1. 撮影を快適にする機能

 まずは「ピント」、次に「露出」、そしてカメラの「操作」そのものを快適にするための機能を紹介します。
 使用説明書を読めばわかることではありますが、やはりあの分厚い書物を読みこなすのは大変な作業です。とりあえずは、「こんなこともできるんだ」ということだけを覚えてください。そして、必要な時にはぜひ、何度でも使用説明書を再読なさることを期待します。

7.1.1. ピント合わせを快適にする機能

 「クールピクス」シリーズのいくつかには、より確実なピント合わせを快適にするための機能として、「ピーキング」と「マニュアルフォーカス」と呼ばれる機能などが搭載されています(機種によって異なります。たとえば、「クールピクス 775」には両機能とも搭載されていません)。

▼ピーキング

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写真 1.1.A.
「メニュー」→「focus」→「ピーキング」で設定します。

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写真 1.1.B.
ピーキング「OFF」のとき、液晶モニタではこのように視えます。

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写真 1.1.C.
ピーキング「ON」のとき、液晶モニタではこのように視えます。このように視え方が変わるので、どこにピントが合っているか ? よりわかりやすくなります(実際の撮影結果は、ピーキング「ON」/「OFF」で変わりません)。

 「ピーキング」とは、カメラの液晶モニタ上で、ピントの合っている部分の輪郭(エッジ)を強調して表示する機能です。この表示は実際の写りとは異なり、被写体のピントの合った細部が非常に強調されて見えます。
 液晶モニタでのピント確認に不安を感じる場合などに使うといいでしょう。

 カメラの液晶モニタの「ピーキング」表示と撮影結果は違うことを覚えておいてください。とりわけ、人物の撮影では肌の肌理(きめ)や吹き出物などが目立って見えるために、ちょっと嫌な感じがするかもしれません。しかし、パソコンのモニタに表示したりプリントアウトした撮影結果は実物どおりの美しさになるものです。

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写真 1.2.
マニュアルフォーカスでピントを合わせるには、被写体までの距離を数値で設定します

▼ マニュアルフォーカス

 フォーカスロック機能(2.1.2. 参照)やオートフォーカス(AF)エリア選択機能(2.1.3. 参照)を使っても、ピントを合わせることができない被写体の場合や、ピント位置を固定して撮影したい場合には、自分でレンズ前端から被写体までの距離、あるいはピントを固定したい位置までの距離を設定できる「マニュアルフォーカス」機能を使うと便利です。
 また、事前にピントを固定しておくことで、シャッターボタンをいきなり押してから実際に撮影できるまでの時間差(タイムラグ)を、いくぶんかは短くできることもあります。

7.1.2. 露出合わせを快適にする機能

 「クールピクス」シリーズのカメラのいくつかには、露出合わせを快適にするための機能として、「ブラケティング」と「マニュアル露出 [m]」と呼ばれる機能などが搭載されています(機種によって異なります。たとえば、「クールピクス775」には両機能とも搭載されていません)。

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写真 1.3.
「メニュー」→「EXP.」→「ブラケティング」で設定します。

▼ ブラケティング

 「ブラケティング」機能とは、「やや明るめ」、「普通」、「やや暗め」、といった露出違いの数カットの写真を、自動的に連続撮影する機能です。
 より確実な露出をものにするために、「露出値をバラして、数撃ちゃ当たる」で段階露出撮影をおこなうときには、面倒な露出補正操作(3.1.3. 参照)を自動でおこなえるために、スピーディになります。
 ただ、撮影枚数が数倍になりますから、記録メディアの容量や画像サイズなどを考慮した上で使ってください。

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写真 1.4.
「シャッタースピード」や「絞り」の組み合わせを撮影者が手動(マニュアル)で設定できます。

▼ マニュアル露出 [M]

 ニコン「クールピクス」シリーズの露出補正は、+/- 2 EV(段)の範囲で設定できますから、通常の撮影ではまず問題なく調整できます。
 しかし、この範囲を超えて露出を調整したい場合などには、「シャッタースピード」や「絞り」(2.2.1. 参照)の組み合わせを手動で設定することも可能です(撮影例については、6.1.3. の写真1.3.B. を参照)。

 シャッタースピードや絞りについて、そして両者の関係について、より詳しく知りたい方は、「一眼レフ入門 5 回目 時間を制御する「シャッター」」および「一眼レフ入門 6 回目 ボケが変わる「絞り」」をご参照ください。

7.1.3. 操作を快適にする機能

 デジタルカメラの操作の際の電子音が気になったり、液晶モニタ表示などが突然消えて困る…….、などといった問題を抱えている方は、決して少なくはないでしょう。
 このような操作上の問題は、カメラの設定を正しくおこなえば、その多くが解決します。ニコン「クールピクス」シリーズでは「SET UPメニュー」の中で各種の設定をおこなうことができます。

▼「操作音」と「パワーオフ設定」

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写真 1.5.A.
「SET UPメニュー」→「操作音」で「ON」/「OFF」を設定します。

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写真 1.5.B.
「SET UPメニュー」→「パワーオフ設定」で何分後に消灯するかを設定します。

 操作の際の電子音が気になる場合は、「操作音」を「OFF」に設定します。
 撮影スタンバイ中に、液晶モニタ表示などが突然消えると困る場合には、「オートパワーオフ機能」の設定時間を長くします。
 ただし、液晶モニタを長い時間表示させて使う場合は、電池の消耗が激しくなることに注意してください。

▼「画面の明るさ」と「画面の色合い」

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写真 1.6.A.
「SET UP項目」→
「モニタ設定」→
「画面の明るさ/色合い」で設定します

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写真 1.6.B.
「画面の明るさ」の設定
(「クールピクス 880」の例)

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写真 1.6.C.
「画面の色合い」の設定
(「クールピクス 880」の例)

 カメラの液晶モニタ、パソコンの画面、さらにプリンタを使って印刷した時の写真の色調が、どれも一緒ではないと思われる方はかなり多いはずです。こうした印象の違いを正すためには、カメラとパソコンそれぞれのモニタ、さらにプリンタの色調全てを正しく調整しなければなりません。
 この調整を「カラーマッチング」というのですが、よほど知識があり、根気と時間と、場合によってはお金をも兼ね備えていないと、まず無理と諦めたほうがいいかもしれません。
 しかし、それでも気になる場合には、カメラの液晶モニタの「画面の明るさ」や「画面の色合い」は、ある程度調整できます。実物やパソコンモニタや印刷と比較しながら、調整してみてください(「クールピクス 775」の場合は、「画面の明るさ」のみ調整できます)。

7.2. 画質を変える機能

 ここでは、撮影結果の画質に影響を与える機能を紹介します。目的に合った高品位の画像データを得るために活用してください。

7.2.1. 「階調補正」って何なの ?

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写真2.2.
「撮影メニュー」→
「階調補正」から設定します

 「階調補正」とは、モニタやプリンタなどを使って写真を表示したり印刷した時に、よりよい結果を得るために、画面のメリハリや滑らかさ、明るさや暗さを調整するものです。
 注意深く画面を観察しないと、なかなかわかりづらい程度の違いしかありませんが、画面を拡大したり、印刷した時によい結果を得るには、必要な機能です。

▼「コントラスト強」と「コントラスト弱」

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写真 2.3.A.
「階調補正」で「コントラスト強」
を選択して撮影

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写真 2.3.B.
「階調補正」は「標準」のまま撮影

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写真 2.3.C.
「階調補正」で「コントラスト弱」
を選択して撮影

 「コントラスト」とは、”明暗の差” といった意味で、画面の中の明るい部分と暗い部分の「差」の大きさのことです。
 コントラストを変えることで、結果的に画面の明るさや暗さが変わることがありますが、あくまで明るい部分と暗い部分の「差」の大きさを変えていることに注意してください。

▼ 階調補正の「明るめ」と「暗め」

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写真 2.3.C.
「階調補正」で「明るめ」を選択して撮影

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写真 2.3.B.
「階調補正」は「標準」のまま撮影

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写真 2.3.E.
「階調補正」で「暗め」を選択して撮影

 「階調補正」は、一見、「露出補正」に似た機能ですが、この機能では画面の中の白い部分や黒い部分の情報量を減らさないのが特徴です。
 画像加工を行ったり、印刷したりする際に、よりよい結果を得るために使います。
 一般的には、「露出補正」機能を使ったほうが簡便です。

▼モノクロ

 これは、見た目ではっきり違いますね。モノクロの画像を撮影できます。色の情報を白〜黒の濃淡でのみ記録します。

 もちろんですが、モノクロで記録した画像データからは、天然色の写真をよみがえらせることはできません。

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写真 2.3.B.
「標準」のまま撮影

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写真 2.3.F.
 「モノクロ」を選択して撮影
(「モノクロ」を「彩度調整」のメニューに分類するデジタルカメラもあります)


7.2.2. 「輪郭強調」とは何なの ?

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写真 2.4.
「撮影メニュー」→
「輪郭強調」で選択します。

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写真 2.5.A.
「輪郭強調」を「強」にした
画像の部分拡大。
新聞紙の文字はシャープになって読みやすいのですが、花の輪郭(エッジ)は強調されすぎると不自然です。

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写真 2.5.B.
「輪郭強調」を「OFF」にした
画像の部分拡大

 デジタル写真は、電気的な信号ですから、被写体の輪郭部分だけを強調したり弱めたりすることが、割合簡単にできます。
 輪郭を強調したメリハリのある写真にしたい時は「強」に、ソフトな描写にしたい時は「OFF」にします。輪郭強調の度合いは、「強」>「標準」>「弱」>「OFF」の順で小さくなります。
 パッと見た目に大きな違いはありませんが、パソコンのモニタで拡大してみると、違いがよくわかります。
 輪郭は強調しすぎると、不自然な画像になりますから注意してください。

 なお、この設定による描写の違いは、カメラの液晶モニタ上には反映されませんから、撮影結果をパソコンのモニタで表示させて確認してください。

7.2.3. 「感度」って何なの ?


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写真 2.6.
「撮影メニュー」→
「感度設定」で選択します

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写真 2.7.A.
感度設定を「ISO 100 相当」
にして撮影した画像の部分拡大

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写真 2.7.B.
感度設定を「ISO 400 相当」
にして撮影した画像の部分拡大

 デジタルカメラの撮像素子そのものには、銀塩フィルムのような固有の「感度」はありません。
 しかし、シャッタースピードや絞り値を求める際に、銀塩フィルムとの関連で直感的に分かりやすくするために、デジタルカメラにも銀塩フィルムの感度に対応するような「感度」を設定できる機能が付加されています。
 感度設定値を高く(= ISO 換算の数字を大きく)すると、速いシャッタースピードを使えたり、絞りを絞って撮影できます。このため、ブレを抑えたり、被写界深度が深くなります。ただし、感度設定値を高くすればするほど、ほんの少し、ボケたような、ザラついたような写りになります。

 さて、「フィルムカメラでは装填するフィルムの感度を、デジタルカメラでは感度設定の値を高くすると、暗い場所でも、明るい写真が撮影できる」という言い方がなされることがありますが、これは正確ではありません。
 「暗い場所でも、ブレやピンボケの少ない写真が撮れる」ということです。 写真の仕上がりの明るさや暗さは、「露出補正」によって大きく変わります。ちなみに、写真2.7.A.(ISO 換算 100相当の感度設定で撮影)と、写真2.7.B(ISO 換算400 相当の感度設定で撮影)を比べてみると、どういう加減か後者の方が若干暗く見えます。
 銀塩フィルムの感度については、「一眼レフ入門 3 回目 「フィルム」は光の記録装置」の「2.3. ISO感度って何 ?」を参照してください。

7.3. 知ると得した気分になる機能

 「私自身の使用範囲では」という前置きつきですが、「こんな機能もあるんだけど、いつ、どこで、だれが使うんだろう ?」といった印象もある機能を紹介します。
 いや、実際に使ってみると、なかなか面白い機能なんですね、これが。
 必要に応じて、使いこなしてください。

7.3.1. 「測光方式」って何なの ?

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写真 3.1.
「撮影メニュー」→
「測光方式」で「スポット」
を選択します

 液晶モニタつきのデジタルカメラでは、撮影後、ほぼリアルタイムで写真の仕上がりを確認できます。このため、露出値の違いによる写真の濃さ・薄さの問題は、「露出補正機能」を使って再度撮影しなおせばすむことです。
 このため、「「測光方式」を細かく選択するよりも、「露出補正機能」を使いこなす方が、よい結果を得るための早道だ」と私は考えます。前述した「ブラケティング」機能はこの点で便利です。
 ただし、最初の一発で、できるだけ望みどおりの濃さの画像データを求めたい場合には、測光方式についても理解を深めておくといいでしょう。

 しかし、これらを理解して使いこなすには、露出についての深い理解が不可欠です。詳しくは、「一眼レフ入門 8 回目 「露出」の基礎知識」を参照してください。

 それぞれの設定の使いわけは次のとおりです。

image マルチパターン測光
 カメラ任せで、かなり広範囲によい結果を得られます。
 この測光モードの呼び名は、メーカーによってかなり異なります。

image スポット測光
 画面のごく一部分だけの明るさを測定し、露出値を自動調整します。

image 中央部重点測光
 画面全体の明るさを、とりわけ画面の中央部を重点的に測定し、露出値を自動調整します。

image afスポット測光
 選択したafエリアの周りだけの明るさを測定し、露出値を自動調整します。

 スポット測光では、画面中央部の四角く囲まれた範囲の明るさを測定し、露出値を計算します。このため、この狭い部分の明るさ・暗さ(濃さ・薄さ)によって、撮影結果の明るさ・暗さ(濃さ・薄さ)が変わります。

スポット測光の使い方の例

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写真 3.2.A.
スポット測光した範囲が
白っぽい(明るい)と……

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写真 3.2.B.
暗い(濃い)写真になります

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写真 3.2.C.
スポット測光した範囲が
黒っぽい(暗い)と……

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写真 3.2.D.
明るい(淡い)写真になります

7.3.2. 「BSS(ベストショットセレクタ)」って何なの ?

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写真 3.3.
「撮影メニュー」→
「BSS」で設定します

 「BSS」とは、「ベストショットセレクタ」の略で、シャッターボタンを押している間、連続して最大10枚の写真を撮影し、その中から細部が最も精細に写っている(と見倣せると、「クールピクス」が判断した)画像を 1 枚だけ選んで記録する機能です。
 カメラブレのより少ない写真を撮影するのには大変有効です。以下の条件で、三脚や一脚を使わずに手持ち撮影をおこなう場合などには活用してください。

  1.  ズームを [T](テレ)側にして撮影したり、テレコンバータを使用する場合、
  2.  マクロ撮影(近接撮影)をおこなう場合、
  3.  暗い場所で、スピードライトを使用せずに撮影する場合

 このユニークな機能「ベストショットセレクタ」に似た呼び名を、全く別の機能(一般にいう、シーン別のプログラム設定)に付しているメーカーがあります。

7.3.3. 「連写」や「動画」の機能


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写真 3.4.
「撮影メニュー」→
「連写」で選択します

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写真 3.5.
「マルチ連写」で撮影した例。
16枚の連続カットが 1 枚に収まります。

quicktime movie

写真 3.6.
「動画」で撮影した画像を、パソコン上で再生しているイメージ(静止画です。動きません)。
 動画の撮影中でも、オートフォーカス(AF)と自動露出(AE)が作動するデジタルカメラを選ぶと便利です。

 機種によって異なりますが、シャッターチャンスを逃がさないための連続撮影(「連写」、「高速連写」)ができたり、十数秒から数十秒の動画を撮影できる機能もあります。
 それぞれ、撮影できる画質モードや画像サイズなどに制限があったり、記録されるフォルダやファイルが通常の画像データとは異なることがありますので、詳細は、使用説明書で確認してください。

 今回は、ちょっと駆け足で、また、機種によってあったりなかったりする機能を紹介しましたので、やや消化不良といった感じがするかもしれませんね。
 それでも、細かな説明をしだすとキリがありません。詳しくは使用説明書で確認していただくことにしました。必要に応じて、それぞれの機能を使ってみてください。撮影目的にあった選択をおこなえば、よりスムーズにより高品位の画像を撮影できるようになるはずです。

 次回は、アクセサリです。これまたいろいろあるんですよね〜。

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