目的別撮影テクニック集

1.オークション用に撮る

1. ごあいさつ

ごあいさつ

オークションサイトでは写真の良し悪しが、品物の価値だけでなく、販売している人の信用にも影響します。だからこそ余計に、難しく感じられ、どのように撮影したらよいか戸惑うわけです。ここでは、できる限り特殊なテクニックを使わない簡単な撮影方法で、とりあえず見た目のよいイメージにする方法を紹介します。ここに紹介した内容を基礎として、さまざまに応用していただきたいと思います。

2.小物を撮る

似顔絵 光沢が少なく、ガラスやプラスチックのような透明感のない小物なら、基本的なポイントさえしっかり押さえるだけで、わりあい簡単に見栄えのよい写真を撮影できます。最も大切なのは、カメラを三脚などにしっかり固定し、スピードライトを発光させないで、室内照明や窓際の光で撮影することです。また、必要に応じて、露出補正で明るさを、ホワイトバランスで色を調整することも忘れないでください。

ありがちな失敗写真の原因を考えましょう。

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<01>ありがちな失敗写真ですね。何が悪かったのでしょう。<02>雰囲気のよい写真になりました。何を変えたのでしょう?<01>と<02>と比べて、何が違うのかを考えてみましょう。

 もっとも気になるのは、下地(背景)ではありませんか? これはシーツを使っています。シーツ自体が悪いというのではありませんが、シワが目立って小汚く感じられるわけです。また、スピードライトの影響で、手前が明るく、奥が不自然に暗く写っています。それから、サボテンとぬいぐるみの並べ方も、工夫がない感じがしますね。
 でも、これらの物だけを撮ろうとすると、意外にも多くの人がこういう撮り方をしてしまいます。一つずつ解決していきましょう。

下地(背景)を考えます。

 オークション用の写真撮影で、一番大切なのは、下地(背景)を何にするか? です。この選択さえ間違えなければ、それだけで十分に撮影できる準備が整ったことになります。
 下地(背景)は、商品の意味やニュアンス、使い方を強くイメージさせるために大切な役割を果たします。
 どんな下地(背景)がいいか? は、その商品がどこで、どのように使われる物かによって変わります。商品の下地(背景)を考えることは、商品のイメージを考えることなのです。その商品が活き活き見える下地(背景)選びを心がけましょう。

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白の紙の上に置きました。無味乾燥とした印象となり、大きさが直感的に分かりにくいイメージになりました。

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<04>木目の机の上に置きました。木目があるだけでやさしい印象になり、大きさもなんとなくわかります。<05>パソコンとマウスを後方に並べました。大きさがはっきりしただけでなく、休憩時間の「なごみ」のニュアンスがします。

ズームとカメラポジションを選びます。

 下地(背景)が決まったら、写真の画面の中にどのように収めるか? を実際にファインダーや液晶モニタを見ながら、あるいはテスト撮影を行いながら、探していきましょう。
 注目すべきポイントは三つあります。

  • 商品の背景に余分な要素が写りすぎないこと
  • 商品の「顔」がよく見えること
  • 商品の「形」を正しく、美しく写すこと

 単純には、ズームを広角(W)にするか、望遠(T)にするか? そして、カメラ位置をどこにするか? を決めることになります。
 ちなみにここまでの撮影は、室内蛍光灯だけで照明したものです。

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ズームを広角(W)にして撮影しました。商品の背景に写っている範囲が広く、パソコンやマウスや机の端などの要素が多く写りすぎています。また、被写体の形も少しゆがんでいます。

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<07>斜め上から撮影しました。写真としては面白いのですが、紹介する商品の「顔」が見えないので不的確といえます。<08>ズームを望遠(T)にして、低めから撮影しました。背景に写っている物の要素が少ないので、商品自体が際だちます。また、商品とカメラが離れているため、形がきれいに写りました。

光に注目しながら撮影してみましょう。

 オークション用の撮影ということであれば、<08>のレベルでも十分かと思います。でも、他人よりも良く見せたい! というのも人情でしょう。そんな時は、ぜひ光に注目しながら撮影することにチャレンジしてみましょう。
 しかし、このステップに進むには、下地とズーム、カメラポジションをしっかり詰めてからにします。これらがしっかりしてこそ、光の違いが際立つからです。
 光を変えるには、窓際の光を使ったり、卓上ランプを使ったり、撮影専用の照明機材を使う方法などさまざまですが、ホワイトバランスで色を、露出補正で明るさを調整することだけは忘れないでください。

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撮影状況です。画面右奥に窓があります。室内蛍光灯は消し、ホワイトバランスを再調整しました。カメラを三脚に固定すれば、薄暗い場所でも撮影できます。

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<10>画面右奥の窓からの光だけの照明です。このため、サボテンやぬいぐるみの手前側が影になっています。これはこれで雰囲気のある写真ですが、影によって暗い印象が強くなっています。<11>露出補正を+1に設定して撮影しました。たったこれだけで、画面が明るくなり、光が強くなったような印象さえ受けます。<08>に比べると、光によって、ぬいぐるみのフワフワ感、サボテンの光沢が美しく再現されました。

 商品撮影が難しいのは、カメラの操作のせいではなくて、その商品をどのような下地(背景)で撮影するか、商品の特徴をどのように見せるか、を考えることが難しいからなのですね。でも、なんとなく簡単そうに思えてきませんか?

3.カメラを撮る

似顔絵 カメラの表面には、金属やプラスチックなど光を反射する素材が使われており、数多くの曲面や平面でできています。このため、ゴールドやシルバーや宝石を用いた宝飾品などと並んで、撮影が難しいものの代表と言われます。もちろん、大手メーカーが広告に使用するような写真を撮影するのは困難ですが、オークションに適した画像なら、あまり難しく考える必要はありません。室内の蛍光灯照明だけでも、ここまで撮影できます。

ありがちな失敗写真の原因を考えましょう。

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<12>ありがちな失敗写真ですね。何が悪かったのでしょう。<13>雰囲気のよい写真になりました。何を変えたのでしょう?<12>と<13>と比べて、何が違うのかを考えてみましょう。

 決定的に失敗だな、と思えるのは、ピントですね。ピントが合っていないために、部分がシャープに見えません。コンパクトデジタルカメラならマクロフォーカスモードに設定します。デジタル一眼レフカメラならマクロレンズに交換し、被写界深度を確認しながら撮影しなおします。
 スピードライトが光っているために、変な反射ができたこと。さらに、下地(背景)が小汚いのも、よい印象を与えません。完全動作品なのに故障しているようにさえ感じられます。
<13>は、このあたりの問題をクリアした、基本的な作例です。

形をきれいに写すには、被写体から離れて望遠(T)で写します。

 工業製品は、設計図に描かれているような形で写すと、非常に美しく見えます。頭の中に描かれているイメージそっくりに見えるからです。
 このように、本来の形に忠実に写すには、ズームをできるだけ望遠(T)側にして、被写体とカメラをできるだけ離して撮影するのが基本で。これは、他の全ての商品撮影だけでなく、人物撮影など写真全般の基本ですから、覚えておいてください。
 ズームを望遠(T)にして離れて写すと、形がきれいに写るだけでなく、背景に余分な要素が写りませんから、商品自体が際立って見えることもメリットです。
 いずれも室内の蛍光灯照明だけで撮影しています。

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ズームを広角(W)にして近づいて写すケース<15>と、ズームを望遠(T)にして離れて写すケース<16>。この写真は合成です。

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<15>ズームを広角(W)にして近づいて写すと、形がゆがんだように写り、背景にさまざまな要素が写ってしまいました。<16>ズームを望遠(T)にして離れて写すと、形が設計図のようにきれいに写り、背景がシンプルになりました。オークション用としては十分な写りです。

ホワイトバランスと露出補正は必ず調整します。

 商品の写真にとって、実物の色や濃さを正しく伝えることは、基本中の基本です。しかし、実物の色や濃さを正しく写すことは至難の技でして、不可能なことも少なくありません。なぜかといいますと、光の当たり方一つで実物の色や濃さは変わって見えるのです。実物の見え方、つまり正しい色や濃さが変わるのですから、これが難しくないわけがありません。
 ですから、写真を見る人の想像力にも頼ることで初めて、正しく伝えることが可能になります。完全を期す必要はありません。
 ただ、その前提として、ホワイトバランスで色を、露出補正で明るさを調整することくらいはしっかり行っておきましょう。

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全体的に紫っぽく偏り、かなり淡い感じがします。色や明るさが見た目とかけ離れていたら、ホワイトバランスと露出補正を確認しましょう。

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<18>ホワイトバランスを調整したら、色の偏りが無くなりました。しかし、少し淡い感じがします。これは撮影場所が暗いせいではなく、露出補正の設定が正しくないからです。<19>露出補正を-0.7に設定しなおして撮影したら、濃さもいい感じになりました。サテン布の光沢感も美しく、高級感が際立ちました。

レンズ表面の反射を消すには?

 レンズはガラスでできており、その表面は光を反射します。しかも球面をしていますから、ありとあらゆる方向の光を反射するため、天井などにある照明機材の多くが写ってしまいます。
 こうした反射を、「写り込み」とか「テカリ」などといい、商品撮影をマスターする上でのキーポイントになります。
 しかし単純にいえば、天井などにある照明機材の光を反射しているだけですから、これらを遮ったりするだけで、十分見応えのあるイメージにすることができます。

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レンズ表面が反射している範囲をA4のコピー用紙で覆ってみました。もっと大きな薄手の白紙があれば、便利です。

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<21>レンズ表面に白や紫、青の横筋のように光っているのが、天井の蛍光灯の反射です。細かで強い反射が多く、なんとなくうるさい感じがします。<22>細かで強い反射が無くなり、レンズの全面がやわらかい反射で覆われました。これは、コピー用紙を透過した光を反射したものです。

4.服を撮る

似顔絵 服のシルエットやコーディネート例を見せるのに一番いいのは、モデルが着用したところを写すことです。モデルがいない場合にも、ボディーなどに着せたほうが、立体感がよく伝わります。しかしそうはいっても一般的な家庭には、モデルもいないし、ボディなどもないはずです。ここでは、床に置いて撮影するためのポイントを整理します。陰影の付け方などは、モデルやボディに着用したところの撮影にも応用できるでしょう。

ありがちな失敗写真の原因を考えましょう。


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<23>ありがちな失敗写真ですね。何が悪かったのでしょう。<24>雰囲気のよい写真になりました。何を変えたのでしょう?

<23>と<24>と比べて、何が違うのかを考えてみましょう。
 何がよくないって、ブラウスのシワだけでなく、下地のシーツのシワは、最悪といっていいですね。手前が明るく、奥が暗いのは、スピードライトの影響です。商品撮影には、基本的にカメラ内蔵のストロボは使わないものと考えてください。
 また、カメラ位置が低く、ブラウスが斜めに置かれているために、ブラウスの形がはっきり伝わらないのも問題です。
 <24>は、このあたりの問題をクリアした、基本的な作例です。室内の蛍光灯照明だけで撮影しました。

形をきれいに写すには、ブラウスの真上から撮影します。

 柔らかい素材でできたブラウスは、ボディに着せて撮影すると、却ってシワだらけになって見栄えがしないことがあります。また、このようなブラウスだけでなく、ブラウスなども、床置きで十分きれいに撮影することができます。ですが、その形やプリント柄をきれいに写すには、床に置いたブラウスの真上から撮影しなければなりません。そうしないと、カメラに近い側が大きく、遠い側が小さく(遠近感がついて)写ってしまいます。
 カメラのボディから液晶モニターが離れたり、回転するタイプのカメラでは、こうした撮影が割合簡単にできます。

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(イラスト)形をきれいに写すには、ブラウスの真上から撮影します。大きめの板を下敷きにして椅子などに立てかけて撮影すると、斜めから撮影することもできます。

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<26>普通に立った位置で撮影すると、手前が大きく、奥が小さく写ります。色付きの画用紙を下地にしたら、服の色がよく分からなくなりました。<27>ブラウスの真上から撮影すると、形がきれいに写ります。白地にしたら微妙な色もだいたい正しく見えるようになりました。

布のやわらかさや素材感を伝えるには?

 布のやわからさや素材感は、本当なら触って初めてわかるものかもしれません。
 それを写真で、つまり視覚だけで伝えるにはどうしたらいいでしょう。意外かもしれませんが、シワによってやわらかさが、影によって素材感が伝わるのです。
 シワや影は、商品撮影の敵のように思われがちですが、これらを上手く利用することで、質感が表現できるのですね。逆手をとって、積極的に利用してみましょう。

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シワがないように伸ばして撮影しました。プリント柄はよくわかりますが、布の感じはまったくしません。

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<29>リボンとギャザーの部分を写しました。質感やデザインの工夫がよくわかります。室内の蛍光灯照明で撮影しています。<30>窓際から入る光で撮影しました。画面左上に窓があります。光が横から当たっているために影が強くでき、素材感や立体感が強調されました。

立体感を表現するには?

 このようなブラウスやTシャツは、もともと平面的な服ですから床置きで撮影するだけで、その特徴をよりよく表現できます。
 しかし、立体裁断を施された服をそのまま床置きにすると、不自然なシワができるだけで、ちっともきれいに写りません。こんな時は、緩衝材やレジ袋・新聞紙などを丸めたりして、服の中に入れ、形を整えることで、服の立体感を自然に写すことができます。
 さらに、窓際の光を使って撮影すると、影によって立体感を強調できます。
 手間隙はかかりますが、こうした努力によってこそ、服の特徴をよりよく伝えることができるはずです。

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緩衝材(俗称プチプチ)やレジ袋を丸めたものなどで、形を整えます。

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<32>室内の蛍光灯で撮影すると、陰影が乏しく立体感が感じられないイメージになりました。<33>画面上に窓があります。画面奥からの光ですので、手前に影が落ち、立体感が際立ちました。

最後に

似顔絵 さて、小物・カメラ・服の撮影のポイントを簡単に紹介してきました。商品撮影は、それぞれの商品の特徴だけでなく、売り方によっても撮り方が変わります。だからこそ、奥が深い世界です。でも、ここに紹介したようなちょっとしたアイデアと工夫の積み重ねが基本であることに違いはありません。みなさんの出品商品が、無事に落札されることを期待しています。

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