デジタル一眼レフ入門

3.ピントを理解しよう

1. ごあいさつ

ごあいさつ

デジタルカメラのほとんどはオートフォーカス機能を搭載していますので、皆さんは特に意識しなくてもそれなりにピントの合った写真が撮影できているでしょう。それでも、目的の被写体に上手くピントが合わなかった経験はありませんか。ピントを上手く合わせるにはどうしたら良いのでしょうか。このためにまず、ピントとは何かを理解するところから始めましょう。

2.ピントって何?

似顔絵 ピントとは、日本語で焦点、英語でフォーカスといいます。ピントという単語は、オランダ語で焦点を意味するbrandpunktが語源のようです。燃える(brand)と点(punkt)で「焦点=焦げる点」、punktから「ピント」といった具合ですから、分かり易いですね。

ピンボケとブレ

 ピントがはっきり合っていない状態を、一般的にピンボケといいます。しかし実は、ピントが合っていないのではなく、撮影中にカメラや被写体が動いたために、画像がブレて(ズレて)写ったケースが少なくありません。
 ピンボケとブレを見分けるのは、意外に難しいのですが、細部を観察した時に、画像がズレているように感じられるものはブレと判断して良いでしょう。

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<01>カメラブレの写真です。花びらの部分を観察すると、斜め横にズレたように写っていることがわかります。
<02>ピンボケの写真です。マニュアルフォーカスでわざわざピンボケにしました。
オートフォーカスでは、このようなピンボケ写真は撮れません。

 カメラが動いた場合は画面全体がズレたように写り、被写体が動いた場合は動いた被写体だけがズレたような写真になります。

撮りたい被写体にピントを合わせるのが基本。

 ピンボケが気になるのは、写っている被写体をもっと見たい、と思う場合です。極端な話をするなら、被写体や写真のイメージに関心がなければ、ピントが合っていようがいまいがどちらでも良いのです。
 つまり、自分が撮りたいと思う被写体、あるいは写真を通して人に見せたいと思う被写体にピントを合わせるのが写真撮影の基本です。何にピントを合わせるか?は写す人の気持ちが決めるものですから、カメラのオート機能ですべてが上手くいくとは限らないわけです。ここが、ピント合わせをマスターするスタート地点です。

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<03>ひまわりにピントが合っています。ひまわりの細部もしっかり見えますね。
<04>背景にピントが合っています。通常はひまわりを見たいと思うでしょうから、ピンボケはイライラの原因。

背景のボケ方が変わる?

 被写界深度という言葉をご存じですか?被写界深度とは、ピントが合う前後の範囲を示したもので、レンズの絞りによって調整することができます。つまり、同じ被写体にピントを合わせながら、背景のボケ方を変えることができるのです。特に、背景を大きくボカす写し方は、一眼レフならでは。コンパクトタイプのデジタルカメラでは大きくボカすことはできません。詳しくは別の機会(6回目)に説明しますので、お楽しみに。

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<05>ピントはひまわりに合わせていますが、背景もわりあいシャープに写っています。これを被写界深度が深い、といいます。
<06>ピントはひまわりだけに合い、背景は大きくボケています。これを被写界深度が浅い、といいます。

3.ピントはどこに合う?

似顔絵 オートフォーカス(AF/自動焦点)とは、カメラが自動的にピントを合わせてくれる機能です。最近のカメラのオートフォーカス機能は非常に優秀で、人が手動で合わせるよりもスピーディで正確なピント合わせが可能になっています。このため、この機能を上手く使いこなすことこそが、写真上達への早道です。
 その最初のステップとして、ピントはどこに合うのか、をしっかり理解しましょう。

ピントは「平面」に合う!

 基本は撮りたい被写体にピントを合わせるというと、その被写体だけにピントが合うようなイメージを抱きがちになるのですが、実際には、ピントは平面に合います。
 分かりにくいと思いますので、次の写真を見ながら、頭の中で立体的にイメージしてください。横並びの被写体にはすべてにピントが合い、配置の違う被写体はピント面からズレるほどボケることがわかります。

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<07>ピントは平面に合います。

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<08>横並びの被写体は全てピントが合います。

 <07>は横並びのひまわりを撮影しています。ピントは、ピンク色の平面に合います。つまり、ピンク色の平面上にある被写体は全てピントが合って写ります。この平面のことを「ピント面」などといいます。ちなみに、フォーカルプレーンシャッターのフォーカルプレーンはカメラ内部の「ピント面」のことです。

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<09>ピント面からズレた被写体はボケます。

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<10>手前と奥の被写体はボケて写ります。

 <09>は前後に配置がズレたひまわりを撮影していますが、この場合のピントは、中央のひまわりだけに合い、手前と奥のひまわりはボケて写ります。ピント面からの配置の距離のズレが大きいほど、ボケが大きくなります。また、レンズの絞りによっても、ボケ方(被写界深度)が変わります。

思い通りにピントを合わせる(1)

 ニコンDシリーズなどのカメラのファインダー内には、ピント合わせの目標となる「フォーカスエリア(フォーカスフレームとも)」が数カ所あります()。
これにより、画面の中のどの被写体にピントを合わせるかをユーザーが自由に選択できるわけです。
 つまり、画面の中で最も撮りたい、最も人に見せたい被写体に、このフォーカスエリアを合わせるだけで、思い通りにピントを合わせることができます。
 これはデジタル一眼レフカメラでのピント合わせの基本中の基本ですので、ぜひマスターしておきましょう。

ニコンD50、70、100などは、画面内に5箇所。D200、D2シリーズでは、11箇所のフォーカスエリアがあります。ここでは、操作を分かりやすく示すために、グリーンの色で3箇所だけを描いています。
AFエリアモードが「至近優先ダイナミックモード」(後述)になっている場合には、フォーカスエリアの選択はできません。
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マルチセレクターボタン。上下左右に操作することで、フォーカスエリアを自由に選択できます。

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左側のフォーカスエリアを選択すると、奥のひまわりにピントが合います。

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中央のフォーカスエリアを選択すると、中央のひまわりにピントが合います。

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右側のフォーカスエリアを選択すると、手前のひまわりにだけピントが合います。

思い通りにピントを合わせる(2)

 フォーカスエリアの選択がスピーディにできるようになると、撮影の自由度が格段に広がります。しかし、構図を優先して撮影する場合など、ピントを合わせたい被写体がフォーカスエリアに上手く重ならないことも考えられます。
 このような場合には、フォーカスロックという機能を使います。操作自体は簡単で、シャッターボタンを半押しするだけです()。 これも大変よく使う操作ですので、練習しておくと良いでしょう。

AFモードをC(コンティニュアス)に設定している場合には、シャッターボタンではなく、AFロックボタンを操作します。
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ピントを合わせたい被写体にフォーカスエリアを合わせます。

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シャッターボタンを半押し、あるいは、AFロックボタンを押しするとレンズのピント位置がロック(固定)されます。

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構図をずらして、シャッターボタンを押します。ピントは平面に合いますから、構図を横にズラしただけでは、ひまわりはボケません。

(どのフォーカスエリアでもフォーカスロックができますが、ここでは画面中央のフォーカスエリアで説明しています。)

4.オートフォーカスの設定。

似顔絵 先にも述べましたが、デジタル一眼レフカメラのオートフォーカス機能はとても便利な機能です。手動(マニュアル操作)よりも、スピーディで正確なピント合わせができますし、フォーカスモードなどの設定も、自動的に最善の設定になります。
 しかし撮影目的によっては、設定を自分なりに変えることで、よりスピーディでストレスのないピント合わせができるようになりますので、ちょっと細かな設定ですが習得しておくと便利です。

通常撮影はカメラ任せで。

 オートフォーカスの設定には、「AFモード」と「AFエリアモード」の二つがあります。
 AFモードは、オートフォーカスの作動方式を選択するもので、AF-S(シングル)、AF-C(コンティニュアス)、AF-A(オート)があります。一般的な撮影では、SとCを自動的にカメラが選択してくれるAF-Aモードがおすすめです。
 AFエリアモードは、数カ所あるフォーカスエリアの情報をどのように利用するかを設定するもので、シングルエリアAFモード、ダイナミックAFモード、至近優先ダイナミックAFモードがあり、カメラの露出モードの設定によって、もっとも適したモードに自動設定されます。全自動モードや多くのイメージプログラムモードでは、至近優先ダイナミックモードに設定され、すべてのフォーカスエリアの中でもっとも近い被写体にピントが合うように作動します。

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AFモードの選択。AF-Aモードに設定しておくと、AF-SとAF-Cを自動的に選択します。

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AFエリアモードの選択。カメラ任せで撮影する場合には、至近優先ダイナミックモードがおすすめです。

動かない被写体を撮る場合の設定。

 風景写真や花の写真、人物撮影でも動きがあまりない場合には、AF-Sモード+シングルエリアAFモードの組み合わせが最適です。
 AF-Sモードによって、シャッターボタンの半押しでフォーカスロック操作ができます。また、ピント合わせが確実に行われないとシャッターが切れないので、ピンボケになることが少なくなります。
 シングルエリアAFモードで、フォーカスエリアを一つだけ選択できますので、ピントを合わせたい被写体をピンポイントで選べます。

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AF-S(シングルAFサーボ)を選択。ピントを優先した撮影に適しています。

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シングルエリアAFモードの選択。数カ所あるフォーカスエリアから、一つだけのフォーカスエリアを自由に選択できます。構図を優先した撮影に適しています。

動く被写体を撮影する場合の設定。

 スポーツの撮影や、子供やペットなど、被写体が自在に動きまわる場合には、フォーカスエリアを選択するだけでも大変です。もちろん、手動でピント合わせをするなど、至難の業といって良いでしょう。
 このような場合には、AF-Cモードに設定して連続的にオートフォーカスを作動させ、さらに複数のフォーカスエリアから得られる情報を有効に使ってピント合わせができるダイナミックAFモードに設定しておくのが良いです。

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AF-C(コンティニュアスAFサーボ)を選択。常にオートフォーカスが作動するため、動く被写体に最適。また、ピントが合っていなくても、シャッターが切れるため、シャッターチャンスを優先した撮影ができます。

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ダイナミックAFモードを選択。フォーカスエリアを選択できるだけでなく、その周辺のフォーカスエリアの情報を使ってピント合わせを行います。動く被写体の追いかけながら、スピーディなピント合わせができます。

最後に

似顔絵 さてこれで、ピント合わせの疑問や不安はかなり少なくなったのではないでしょうか?頭で理解するだけでなく、フォーカスエリアの選択と、フォーカスロックの二つの機能だけは、ぜひともスピーディに使いこなせるようになってくださいね。

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