デジタル一眼レフ入門

4.ズームを使いこなそう

1. ごあいさつ

ごあいさつ

デジタル一眼レフカメラの基本セットには、標準的なズームレンズがついています。ズームとは広い範囲を画面に収めたり、逆に遠くの被写体を大きく写したりする機能です。誰でも自然に使える機能ですが、ちょっとしたコツを知ることで、レンズの特徴をうまく活かした撮影ができ、一段と見栄えのする写真を撮影できるようになります。そんなコツを一通り紹介しましょう。

2.ズームの基本。

似顔絵

 前述したようにズームとは、画面に写る範囲を変えることができる機能です。広角(W/ワイド)にすると広い範囲を画面に収めることができ、望遠(T/テレ)にすると遠くを大きく写すことができます。

焦点距離の数字を確認しましょう。

 ズームによってレンズの何が変わるかというと、レンズの焦点距離が変わります。焦点距離は単位がミリメートルの数字で示されていますが、小さい方が広角、大きい方が望遠とだけ覚えておきましょう。数字が小さくなればなるほどさらに広角になり、より広い範囲を画面に収めることができます。これとは逆に、数字が大きくなればなるほどさらに望遠になって、遠くの被写体をさらに大きく写せます。スタジアムなどでスポーツを撮影するプロフェッショナルカメラマンは、300ミリとか400ミリといった超望遠レンズを使っています。

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数字が小さい側を「広角」と呼びます。広い範囲を写すには、この数値が小さいレンズが適しています。

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数字が大きい側を「望遠」と呼びます。遠くの被写体を大きく写すには、この数値が大きいレンズが必要です。

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さまざまな焦点距離の交換レンズを使えることは、一眼レフカメラ最大の特徴です。

POINT

※ここがポイント!
 ニコンの一眼レフシステムは、フィルム時代のレンズの多くを、デジタル一眼レフカメラにも使用できるのが特徴です。ただ、フィルムよりも撮像素子が小さいために、同じレンズを使用すると、デジタル一眼レフの方が焦点距離が約1.5倍の望遠レンズになります。遠くを大きく写したい方には、メリットが大きいですね。

基本的なズームの効果を理解しましょう。

 ズームの機能については、コンパクトデジタルカメラもまったく同じですから、誰でもごく自然に使うことができます。繰り返しになりますが、広角では広い範囲が写り、望遠では遠くが大きく写ります。言い方を変えると、広角では遠くが小さく写り、望遠では狭い範囲が写る、ということです。同じことを言い方を変えただけですが、かなりニュアンスが変わりませんか?

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被写体とカメラの距離を変えずにズームを調整して撮影します。

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広角で撮影すると、広い範囲が写り、目的の被写体は小さく写ります。

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望遠で撮影すると、狭い範囲だけが写るため、目的の被写体が大きく写ります。

ズームの醍醐味を知ってください。

 ズームの操作に慣れたら、今度は逆に、ズームを広角か望遠いずれかにに固定して、自分自身が被写体に近づいたり、遠ざかったりして撮影することを目標にしてください。まずは、広角で近づいて撮影した写真と、望遠で遠ざかって撮影した写真を見比べてみましょう。同じ被写体を写しているにも関わらず、印象が決定的に異なるイメージになることに驚かれるはずです。これこそが、ズームの醍醐味なのです。

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広角で近づき、望遠で遠ざかって撮影してみます。何が変わるでしょう。

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広角で近づいた写真です。遠近感が強く、飛び出してきそうな迫力があります。

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人物の背景がすっきりして、まるでスター選手のポートレートのようです。

3.望遠レンズを使う。

似顔絵

 基本セットのズームレンズの望遠は実用的には十分ですが、運動会や舞台など、被写体に近づけないシーンではもの足りなさを感じるはずです。このような場合には、ぜひ焦点距離の長い望遠レンズや望遠ズームレンズをお試しください。レンズを交換するだけで、今まで撮れなかった写真が、簡単に撮れるようになります。望遠レンズの使い方のコツを紹介しましょう。(ここで使用したレンズは、135ミリです。)

ブレに注意しましょう。

 望遠レンズを使った場合の失敗の多くは、カメラブレです。望遠レンズは、狭い範囲を大きく写しますから、カメラのほんの少しの動き(ブレ)が、大きく写ってしまうのです。
 カメラブレを抑えるためには、カメラを三脚などに固定するのが一番ですが、手持ち撮影の場合にはISO感度を高く設定し、シャッタースピードを速くするのが効果的です。デジタル一眼レフカメラでは、ISO800くらいまで画質も十分ですから、ぜひ高感度設定をお試しください。

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この写真はなんとなくピンボケのようですが、カメラブレが原因です。

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ISO感度を高く設定すると、シャッタースピードが速くなりますから、ブレが軽減されます。

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ニコンVR(バイブレーション・リダクション)レンズには、カメラブレを低減する機能が搭載されています。

背景のボケを大きくしてみましょう。

 望遠レンズには、背景や前景のボケが大きく写る特徴があります。この特徴をうまく活かすにはまず、ピントを合わたい被写体と、背景や前景との距離の差を大きくしておく必要があります。(詳しくは「3.ピントを理解しよう」のピントって何?の項を参考にしてください。)
 この上で、レンズの絞りを開放に(F値を最も小さく設定)して撮影すれば、背景が大きくボケます。露出モードはA(絞り優先モード)が便利です。

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露出モードダイヤルをA(絞り優先モード)に設定し、コマンドダイヤルでサンズのF値の数字を一番小さい値に設定します。

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F値が大きく設定されていると、背景も割合シャープに写ります。

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F値を小さく設定するだけで、背景が大きくボケます。

動きを表現してみましょう。

 写真は、静止画です。このため、被写体の動きを表現するには、身体の動きのようすをシャープに写す他、ブレを活かして撮影する方法もあります。これらはシャッタースピードを設定することで調整できますので、何度も繰り返し試してみてください。一回や二回撮影するだけで、うまく撮れることは決してありません。何度もチャレンジすることが最大のコツです。露出モードはS(シャッタースピード優先モード)が便利です。

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露出モードダイヤルをS(シャッタースピード優先モード)に設定し、コマンドダイヤルでシャッタースピードを設定します。

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シャッタースピードを速くすると、被写体の一瞬の動きをシャープに写し止められます。

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シャッタースピードを遅くして、被写体をファインダーで追いかけながら撮影すると、動きがブレによって表現できます。

4.広角レンズを使う。

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 広角レンズと望遠レンズは、画面に写る範囲が違うだけでなく、他のさまざまな点でも正反対の性質を持っています。一つは、遠近感が強く、形が歪んだような印象に写ること。さらに、背景や前景のボケが小さい、つまり被写体の前後もピントが合っているように写ることなどです。広角レンズをうまく使うには、これらの特徴をよりよく理解しておく必要があります。

被写体の高さにカメラを構えましょう。

 たいていの人は、普通に立っている状態でカメラを構えるものです。このため、広角レンズで子供を撮影する時などは、見下げるような格好になります。結果、意外なほど頭でっかちに写ってしまいます。実はファインダー像でも、このように見えているはずなのですが、撮影している時には気付きにくいものなのです。
 カメラ位置を低くして、カメラが真っ直ぐに立った状態にして撮影することを心がけてください。これだけで形の歪みはなくなります。(ここで使用したレンズは、12ミリレンズです。)

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立った位置で撮影するのではなく、被写体の高さに合わせてカメラの位置を調整しましょう。

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立った位置で撮影したものです。びっくりするほど頭でっかちですが、ここまでやると面白いです。

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被写体のオヘソくらいの高さで撮影すると、形の歪みはなくなりました。迫力あるイメージです。

広角レンズでは、一歩でも二歩でも近づくこと!

 広角レンズは、広い範囲を写します。とういことは、目的の被写体の背後にさまざまな背景が写ってしまうことを意味しています。つまり、画面の中に多くの要素が写り過ぎるために、何を写したかったのかわかりにくいイメージになりがちです。
 一歩でも二歩でも近づいて写すことを心がけましょう。広角レンズを使う最大のコツは、これです。

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何気なく撮影すると、背景にいろいろな要素が写ってしまいます。状況を写すにはよいのですが・・・。

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すっきりした背景を選び、カメラを縦位置にして一歩近づいて撮影するだけで、いい感じのポートレートになりました。

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さらに一歩踏み込んで撮影すると、男の子の感情まで見えてきそうなイメージになりました。

固定焦点撮影を試してみましょう。

 広角レンズは、目的の被写体の前後にもピントが合っているようにシャープに写ります。つまり、ピント合わせはかなりラフでもいいのです。
 ですから、オートフォーカスを解除して、レンズの距離目盛りを「2メートル」などに固定して撮影しても、かなりの確率でピントが合います。この場合には、オートフォーカスの作動を気にする必要がありませんから、被写体も撮影する人もお互い動きながら撮影することも可能です。ぜひ、お試しください。

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レンズやボディのフォーカスモードをM(マニュアルフォーカス)に設定します。

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距離目盛りを適当に設定します。目盛りがない場合は、ファインダー像で確認しておきます。

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設定した距離を意識しながら撮影します。ピント合わせの手間がない分、とてもスピーディな撮影ができ、意外な表情を写せます。

最後に

似顔絵

 当たり前に使っているズーム機能に、隠れたコツがたくさんあることがお分かりいただけましたか?
 頭で理解しただけでは、撮影現場で戸惑うかもしれません。一つずつ実際に試しながら、身体で覚えるようにしていただきたいと思います。あっと言う間に、写真の腕が上達しているはずですよ。

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