目的別撮影テクニック集

8.夜を撮る

1. ごあいさつ

ごあいさつ

夜の撮影は暗いので難しいと考えられがちです。事実、きらびやかな夜景を撮影したのに、なぜか真っ暗な写真になることも少なくありません。原因は何でしょうか? きれいな夜景を撮るコツはどんなものでしょうか?

2.夜景を明るく撮る。

似顔絵

 きらびやかな夜景が暗く写ってしまう原因は、夜景が暗いせいではありません。きらびやかな光が明るいために、カメラはそこに強い光が当たっていると認識するため、写真の明るさを抑えて暗くしてしまうのです。フラッシュを光らせても、夜景は非常に遠いので、全く効果はありません。
 夜景を明るく写すには、露出補正機能を使います。この機能を使うためには、カメラの露出(撮影)モードを、AUTOやイメージプログラムではなく、Pモードに設定しておきます。

露出補正を+に設定するだけです。

 写真の明るさを調整する機能を「露出補正」といいます。写真を明るくしたい場合には、+(プラス)側に設定するだけです。+1、+2、+3など、大幅に調整すればするだけ明るい夜景にすることができます。

この回では露出補正について説明しています。

01

<01>
夜景撮影は露出補正が基本です。操作をマスターしましょう。

02

<02>
AUTOで撮影しました。フラッシュも光りましたが効果はありません。

03

<03>
露出補正を+2にしました。明るくなりました。フラッシュは使っていません。

04

<04>
露出補正を+3にすると、見た目よりもはるかに明るく写りました。

 

ブレ対策を考えましょう。

 露出補正をすれば明るい写真が撮れますが、シャッタースピードがかなり遅くなります。このためカメラブレも大きくなります。カメラブレを防ぐもっとも確実な方法は、三脚などにカメラを固定することです。三脚がなければ、何かの台の上にカメラを置いたり、身体を電柱などに押しつけるようにするだけでも相応のブレ防止効果があります。また、ブレ補正機能のついたレンズやカメラを用いたり、ISO感度を高く設定するのも有効です。
 三脚などに固定したカメラの微細な揺れが気になる場合は、ケーブルレリーズを用いたり、セルフタイマーを短い時間に設定して使うとよいです。

05

<05>
カメラが動くことで画像がにじむ現象をカメラブレといいます。

06

<06>
三脚などにカメラを固定すると確実にカメラブレを抑えられます。

07

<07>
セルフタイマーを使えば、手の動きによるブレも抑えられます。

夜景の色を演出しよう!

 カメラのホワイトバランスの設定を変えれば、夜景の色を変えることができます。
 曇天や日陰モードに設定すると橙色に偏りますので、暖かい感じの色調になります。逆に電球モードに設定すると青色に偏るために、なんとなく涼しげな印象になります。とりあえず堅苦しく考えずに、その時々の気分が現れている色で写してみましょう。

08

<08>
ホワイトバランスの設定を変えるだけで色が変わります。

08

<09>
日陰モードに設定すると橙色が強くなります。

10

<10>
電球モードに設定すると青みが強くなります。

3.夜に人物を撮る

似顔絵

 夜に人物を撮影する場合にフラッシュを使うと、人物が動いていてもブレ(被写体ブレ)のない写真が撮れます。しかし通常のAUTOモードでは、背景が見た目よりもはるかに暗く写ってしまいます。カメラが自動的にシャッタースピードを速く設定してしまうからです。

シャッタースピードに秘密があります。

 フラッシュは、カメラの位置でほんの一瞬だけとても強く光ります。しかし、カメラから遠ざかれば、その影響はほとんどなくなります。
 これに比べると、夜景の光はとても弱いですが、遠くでずっと光り続けています。
 こうした光の性質の違いを活かすことで、人物と夜景を共に明るく写すことができます。つまり、人物はフラッシュで明るくし、シャッタースピードを遅くすることで夜景を明るくできるのです。
 こうした設定を自動的に行ってくれるのが「夜景ポートレート」モードやフラッシュの「SLOW」モードなのです。

11

<11>
露出モードを「夜景」や「夜景ポートレート」モードに設定するか、

12

<12>
または、フラッシュを「SLOW」モードに設定します。

13

<13>
AUTOモードで撮影すると、背景が見た目よりも暗く写ります。

14

<14>
露出モードを「夜景」や「夜景ポートレート」モードに設定するか、フラッシュを「SLOW」モードに設定すると、背景も明るく写ります。

背景の明るさを自由に変えるには?

 フラッシュ撮影時に、露出モードをM(マニュアル)に設定すると、シャッタースピードを自由に変更でき、背景の明るさを調整することができます。少し難易度の高い撮影ですので、時間に余裕のある時にお試しください。

15

<15>
露出モードをMに設定します。

16

<16>
シャッタースピードを速く(1/125秒)設定します。

17

<17>
シャッタースピードを遅く(1/8秒)設定します。

18

<18>
シャッタースピードを速く(1/125秒)設定すると、背景が暗く写りました。

19

<19>
シャッタースピードを遅く(1/8秒)設定すると、背景が見た目のように明るく写りました。

フラッシュの明るさを調整することもできます。

 フラッシュの明るさは、レンズの絞り値(F値)に合わせて自動的に調整されています。このため、基本的にはフラッシュの明るさを気にする必要はありません。
 しかし、人物の明るさが足りない場合や、明るく写りすぎるには、フラッシュの明るさだけを調整することもできます。これを調光補正といいます。
 ニコンDシリーズの多くでは、フラッシュボタン と露出補正 の両方を押しながらコマンドダイヤルを回転して設定します。

20

<20>
調光補正を+1にします。

21

<21>
調光補正を−2にします。

22

<22>
調光補正を+1にすると、通常よりも人物が明るくなりました。背景は変わりません。

23

<23>
調光補正を−2にすると、背景は同じまま、人物だけがかなり暗くなりました。

4.ノイズの知識。

似顔絵

 夜景の撮影などで画像が荒く感じられたりする原因を、ノイズといいます。ノイズとは騒音や雑音といった意味の英語で、音響機器で発生する余分な電気信号を指すこともあります。デジタルカメラでも同じように、画質を悪化させる余分な電気信号を指したり、これらによって悪化した画像を指します。
 フィルムカメラにはなかったものですので、少し詳しく説明しておきます。

長秒時露光によるノイズ

 昼の光と比べるなら、夜の光は相当弱いです。このためカメラは、シャッタースピードを遅く(長く)することで、弱い光を多く受け入れて、写真写りを明るくします。
 光そのものが弱いですから、撮像素子が発生する電気信号も弱くなります。このため、もともと電気機器から発生する微細なノイズの影響が無視できなくなるのです。
 これが長秒時ノイズの原因です。
 デジタルカメラの多くにはノイズの影響を電子的に取り除く「長秒時ノイズ除去機能」が搭載されており、これをONにするだけでノイズの影響を除去できます。シャッターが閉じた後に、ノイズを除去するための時間が少し必要です。

24

<24>
長秒時ノイズ除去機能の設定。

25

<25>
<27>の部分拡大。ざらざらした点々が長秒時ノイズです。(画像加工で目立たせています。)

26

<26>
<28>の部分拡大。長秒時ノイズ除去をONにして再撮影したもの(2秒+除去時間約2秒)。

27

<27>
シャッタースピードは2秒です。

28

<28>
長秒時ノイズ除去をONにして再撮影(2秒+除去時間約2秒)したもの。ノイズはほとんど全て除去されています。

高感度ノイズ

 暗い場所で撮影する時、ISO感度を高く設定すると、速いシャッタースピードで撮影できるようになりブレが少なくなります。
 しかし、ISO感度を高くすることはすなわち、少ない光で画像を作ることを意味しています。このためどうしても画質がざらついたような印象になり、色彩も鮮やかさがなくります。このような現象を高感度ノイズといいます。
 私見ですが、デジタル一眼レフではISO感度800までならこの影響はほとんど感じませんが、ISO1600よりも高く設定した場合には目立つようになります。コンパクトデジタルカメラでは、ISO400以上でこのノイズが気になり始めます。
 ただ、高感度フィルムに比較すると、デジタルカメラの高感度撮影はとても手軽ですし画質も十分よいと思います。画質が悪いというのではなく、色調やざらつきをも表現効果として上手に使いこなしてください。(作例は、画面のざらつきを分かりやすくするため一部をトリミングしたものです。)

29

<29>
ISO200では、自然で鮮やかな画質です。(D100、以下全て)

30

<30>
ISO1600では、少しざらついた感じがします。

31

<31>
ISO1600+2段増感にすると、鮮やかさがなく、かなりざらついた印象になりました。

 

最後に

似顔絵

 夜景の撮影は、カメラをしっかり固定して、+側の露出補正をするだけ。夜の人物撮影はフラッシュを使い、シャッタースピードを遅くするのがポイント。各種機能や設定をうまく使い分けてください。それからISO感度を高く設定するだけで、手持ちでもブレの少ない撮影ができます。ぜひ使いこなしていただきたいと思います。

]]>