目的別撮影テクニック集

9.秋を撮る

1. ごあいさつ

ごあいさつ

紅葉は、多くの日本人が写真に撮りたいと思う代表的な風景です。風光明媚な秋の観光地に行けば、カメラを持った人々でごったがいしています。秋の風物というと、決して紅葉だけではないのですが、少しでも思い通りの紅葉を撮影していただくためのアイデアを紹介しましょう。(作例撮影・村田哲也)

2.レンズを変えて紅葉を撮る。

似顔絵

「あ、この景色いいな!」と思ったら、とりあえずその場所に立ち止まり、しっかりカメラを構えて撮影しましょう。これだけで、ブレのないシャープな写真が撮影できます。ゆっくり立ち止まれるなら、フレーミングを変えたり、レンズのズーム機能や交換レンズを使ってみます。このちょっとした手間をかけるだけで、一味違った写真が撮影できるようになります。


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標準レンズでは、見た目に近い遠近感で撮れます。35mmで撮影(35ミリ換算で約50mm)。

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画面に写る前後の要素を見極めましょう。35mmで撮影(35ミリ換算で約50mm)。

広角レンズを使う

 有名な観光地になればなるほど、観光客が多くなります。広角レンズ(ズームの広角側)は、その名の通り広い範囲を写しますので、他の観光客の姿が画面の端に写りやすくなります。このため、人の多い場所では、キレイな風景写真を撮影するのは大変難しいです。人の少ない時間帯や季節などを狙いましょう。

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画面にさまざまな要素が写りますので、大きなプリントにすると見応えがあります。18mmで撮影(35ミリ換算で約28mm)。

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広角レンズは奥行き感を写すのに適しています。18mmで撮影(35ミリ換算で約28mm)。

望遠レンズを使う

 望遠レンズを使うと、写したい被写体から遠く離れて写すことができます。画面に写る範囲も狭いですから、他の観光客など余分な要素を写さないですみます。また、前景や背景を大きくボカした撮影ができる特長もあります。ただし、カメラブレが目立ちやすいですから、三脚や一脚を使うなど、カメラをしっかり固定する工夫を行います。

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風景の一部を切り取るように写せます。130mmで撮影(35mm換算で約195mm)。


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前景や背景を大きくボカして写すことができます。165mmで撮影(35mm換算で約240mm)。

マクロレンズを使う

 接写用のマクロレンズを使うと、小さな被写体を大きく写すことができます。風景の全体を見るのに疲れたら、マクロレンズを装着して、身の回りの小さな部分を観察してみましょう。意外な「秋」を発見できるはずです。例えば、楓の葉だけをに写すだけでも、風景の全体像を想像させるイメージになるのです。

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接写をすると、背景が大きくボケます。105mmマクロレンズで撮影。

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逆光で撮影すると、色彩が際立って写ります。105mmマクロレンズで撮影。

3.紅葉を自在に表現する

似顔絵

 紅葉と一口に言っても、さまざまな表情を見せます。カメラまかせで撮るのではなく、カメラのさまざまな設定を変えることで、こうした表情をもっと活き活きと表現できるようになります。どの設定が正しい、ということはありません。写真の表現を遊ぶつもりで、さまざまな設定を試してみましょう。

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カメラの設定による写りの違いを知るには、カメラをしっかり固定することが大切です。できる限り三脚を使ってください。

露出補正で変わる彩りの明るさ

 光の当たり方によって、紅葉の色彩の感じは大きく変化します。これだけでなく写真では、「露出補正」によっても彩りの明るさが大きく変わります。液晶モニタを見て、見た目通りの彩りで写っていない、と思ったら、まず「露出補正」の値を変えてみましょう。かなり暗い場所でも、明るい写真が撮れるのです。

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露出補正を「−1」に設定すると濃い色で写ります。

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露出補正を「0(カメラ任せ)」で撮影した写り。

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露出補正を「+1」に設定すると明るい色に写ります。

背景をボカすと主題がはっきりします

 撮影モードを「A(絞り優先)」に設定して、絞り値(F値)を変えることで、前景や背景のボケ方を変えることができます。絞り値を大きな値にすると、前景や背景もシャープに写ります。逆に、絞り値を小さな値にすると、前景や背景が大きくボケ、ピントが合っている被写体だけに目が向くようになります。

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Aモードにすると、ボケの大きさを変えることができます。

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絞り値を大きくすると、手前から奥までピントが合っているように写ります。(F29、56mm)

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絞り値を小さくすると、ピントが合っているものだけが強調されて見えます。(F4.5、56mm)

大きなブレで動きを強調できます

 撮影モードを「S(シャッタースピード優先)」に設定して、シャッタースピードを変えることで、動いている物のブレが変わります。シャッタースピードを速くすると、一瞬が止まったようなイメージになります。逆に、シャッタースピードを遅くすると、動いている物が大きくブレて、動きをキレイに表現できます。

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Sモードにすると、ブレの大きさを変えられます。

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速いシャッタースピードでは、動きが止まって写ります。(1/200秒)

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遅いシャッタースピードでは、動いているものが流れているように写ります。(1.6秒)

POINT

※ここがポイント!
 直射日光下や明るい場所で撮影する時、Sモードでシャッタースピードを遅くすると、ISO感度を最も低感度に設定しても、露出オーバーになります。絞り値での対応範囲を超えたためです。こうした場所で、1秒より長いシャッターを使うには、ND(ニュートラルデンシティ)フィルターを使います。このフィルターは、色を変えずに光量を減らすもので、「8×」タイプでシャッタースピードが8倍(1/8秒が1秒)にできます。

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NDフィルターを使えば、通常よりも遅いシャッタースピードで撮影できます。

4.色を鮮やかに写す

似顔絵

 ポスターやカレンダーなどで見る紅葉は、大変鮮やかに写っています。あのような鮮やかさで写す秘訣の一部を紹介しましょう。とはいえ基本は、デジタルカメラに備わっている機能を正しく使うだけです。信じられない人は、それぞれの設定を変えて撮影し、そのプリントを自分の目で確かめてください。きっと自分なりの秘訣を見いだすことができるはずです。

色を写す基本は「ホワイトバランス」

 屋外の太陽の下で撮影すると、だいたい見た目通りの色で写るように、デジカメは作られています。ところが、天気の違い、光の当たり方の違いによって、写真写りの色は微妙に変わっているのです。
 色を見た目通りに写す基本は、「ホワイトバランス」を自分で適切に設定することです。詳しくは、下記を参照してください。

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ホワイトバランスを「曇天」モードに設定します。

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「曇天」モード未設定。ぱっと見た目には悪くない色ですが。

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「曇天」モード設定後。とりわけ赤〜黄色が鮮やかに写りました。

「仕上がり設定」で最適な再現に

「仕上がり設定」機能は、画像の彩度(鮮やかさ)、階調(めりはり)、輪郭(シャープさ)などを、撮影目的に合った最適なタイプに設定する機能です。紅葉などの風景撮影では、「風景きれい」に設定します。カスタム設定では、彩度と輪郭を「強」に設定すると、鮮やかでめりはりのあるイメージになります。カラーモードは、鮮やかさを優先した「sRGBIII」を選択します。
詳しくは、下記を参照してください。

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仕上がり設定で「風景きれい」を選択します。

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「人物きれい」モードで撮影したものです。

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「風景きれい」を選択すると、やや鮮やかに写りました。拡大プリントでは、シャープさの違いもはっきりわかります。

※違いを分かりやすく伝えるために、少しだけ加工しています。

被写体そのものの鮮やかさを写すには?

 偏光(PL)フィルターと呼ばれるフィルターを使えば、葉の表面の光の反射だけをカットして写すことができます。光の反射が写りませんので、素材そのものの鮮やかさを強調して写すことができます。
 このフィルターは、回転角度によって効果が変わりますので、ファインダーを覗きながら、適切な角度に調整してから撮影します。

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偏光フィルターは、回転角を調整しながら撮影します。

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白っぽく写ってしまうのは、光の反射のせいです。

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偏光フィルターの回転角を調整すると、反射が取り除かれ、実物の鮮やかさが強調されて写ります。

最後に

似顔絵

 「秋を撮る」と題して、「紅葉」の撮り方を紹介しました。紅葉は、被写体として大変人気があることを改めて知ったからです。ただ、紅葉だけでなく、一般的な自然風景の撮影にも活かせるテクニックですので、ぜひ応用してみてください。

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