今月号のCAPAも届きました。40周年なんですね。すごいなぁ。30年前の自分の記事を見直しているところなので、当時と今を比較して、たいへんに真面目な雑誌になったんだなぁ、と改めて感じ入りました。

私が手がけた30年前の記事のいくつかを紹介して、CAPAの話は終わりにしましょう。

アクセサリー特集



カメラ用品ショーやIPPFがにぎやかだったころ、イベントに来れない読者のために、面白い用品をピックアップして紹介する特集が組まれました。真面目なもの、ふざけたもの、なんでもあり。ドクター中松のジャンプシューズなんて、写真と関係ないじゃんと思われる方は真面目。

ここを強引に写真に結びつけて、ちょっと笑えればよし。なので、「報道カメラマン必須! ジャンプ力を活かして特ダネをモノにせよ!」とかなんとか。一事が万事こんな感じで、ウケ狙いであることないこと書いて編集と共にゲラゲラ笑っておりました。だいたい10ページくらいだったかな。読者ウケもよく、付録の別冊になったこともあります。

事実、何に使うのだろうと思うものや、非常にコアなユーザー向けの製品なども多く、見ているだけでも楽しかったのです。やはり景気がよかったせいですかね。

ミステリー写真

オウム真理教の活動が激しくなったころ。麻原彰晃が空中浮遊に成功したという写真がいろいろなメディアで取り上げられました。あまりにもバカバカしいので、もっとバカをやって、「こんなのは信じるなよ」的な記事を書きたかったのです。

麻原彰晃のは、組んだ足を上下に振って、力業でジャンプするものなので、数センチしか浮きません。この飛び方は、高専生だった頃に友達同士でよくやっていた技なので、別に驚くこともないのですが、信じやすい人が信じやすい環境にいれば、見事に本気で信じてしまうものなんですね。なので、数センチではつまらないと思い、ここまで高くしてみました。

上半身裸で空中浮遊しているのは、若かりしころの私。自宅の押し入れ部分を改造して、後ろから板を張り出して乗っているだけ。それだけ。カーテンは板の部分切りました。次の見開きは、UFOや心霊写真のニセもの。当時から、ニセモノ、パクリのたぐいが好きだったんですねぇ。

今どきの「おじさんカメラマン」徹底調査

正直いうと、まったく品がない記事。

私は企画だけ立てて、後輩の女の子にイラストと文章を書いてもらいました。

モデル撮影会で局部だけを撮るオジサン、機材自慢しかしないオジサン・・・。こういう人々を揶揄するだけなのですが、正直なところ、これが若い人たち(とりわけ女性)の本音ではあったのです。

でもこういうのを口にすると逆ギレされるだけなので面倒。だから誰も言わない。そういう内容です。イラストを書いてくれた彼女は、イラストレーターでもなんでもないので、ヘタウマならぬ、ヘタヘタ。この絵が、見事に記事内容にマッチしていて、絶妙の味をかもしだしています。

愉快愉快で、これは編集部でも大ウケしました。

ところが、発売日から一週間くらいして、編集部に1円切手だけをはった封書が届きます。開けてみると、この号の雑誌が1冊。手紙もついていて「これほどくだらない雑誌を買ったのは生まれて初めてだ。あまりにひどいので、1円切手で返品する!」とあったそうな。

当時の編集部は強気で、「こんな読者は一掃しないといけない!」とかなんとかいいつつ、皆で爆笑していました。

ひどいなぁ。

でも、こういうのもアリだった、まことにいい時代だったと思うのです。今じゃ無理だろうなぁ~。

やはり、業界全体が落ち目になってくるとどんどん窮屈になっていくものなのですかねぇ。

 

フィルムがいっぱいあった時代

フィルムカタログの付録の別冊。本誌でも何回もやらせていただきました。最盛期、モノクロ、カラーネガ、カラーリバーサル、ポラロイドなどを含めると、35mmフィルムだけでも200種類くらいあったはずです。

暗室講座をやっていたから任されたのだろうと思いますが、そもそもをいえば使うフィルムは決まっていて、これらをすべて試した訳ではありません。フィルム技術についても、それほど詳しい訳でもありませんでした。

編集部がこれらのフィルムを全部メーカーから取り寄せてくれます。この別冊は「ヨドバシ」の協力みたいですが、これを一つ一つ中身を出して、フィルムのベロを揃え、すべて写真に収める。フィルムのパンフレットなどを参考に、それぞれのフィルムの特徴を短い文章にしていくのです。「きれい」とかいう単語を使うと、直ぐに言葉が無くなり、何も書けなくなります。なので、「豊かな色彩」とか「濃厚で香り立つようなカラー」とかなんとか、適当といっちゃなんですが、それぞれのフィルムの違いがわかるような言葉をひねり出すわけ。

無責任といわれればそうかもしれませんが、これで多少は文章力がついたかもしれません。これだけの銘柄のフィルムがあることを、多くの読者が知れたことについては意味があるでしょう。

20年後、多くのフィルムメーカーが無くなり始めます。30年後の今、頑張っているのはフジフィルムだけといっていい状態です。たまにベンチャー企業が参入したりしますが、これは古い設備を再稼働させた程度のものらしく、場合によっては資金集めの詐欺みたいな事業もあるとか。フジフィルムにしたところで、ほとんど採算は合わない事業のはずなので、いつまで続くやら心細い限りです。

あーあ。

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