こうして、毎月毎月、ドカーン、ドカーンと大きなお金が入ってきて、あれもこれもと機材を買い揃えて、1年以上滞納していた家賃も一気に払い終えて、気付いたら年度末。一応、確定申告についての基本のキくらいは知っていたので、領収書はちゃんと保存していましたが、収入を計算しなおしてびっくり。それまで、年収100万円前後の貧困層(自分ではそう思っていないだけ、状況はよろしくなかったはず)だったのが、いきなり1200万円ほどに・・・。

これはヤバイ! ヤバイっていっても、年収100万円の方がよっぼうヤバイのですが、税金問題が急に頭をもたげてきました。ちょうど運良く、市の広報誌で知った「市民のための税金無料相談会」にでかけたのです。

税理士が横並びに5人くらい座って対応している会場で、30分くらい待って、向かい入れてくだったのは私と同世代くらいの背の高い細面の男性。一通り書類を見て、「これはここでは見られないから、事務所である自宅にきてくださいませんか?」と。金額が大きかったことだけでなく、フリーカメラマンという珍しい職種であったことも要因のようでした。

その税理士の事務所兼ご自宅は武蔵新城にあり、電車代をけちってえっちらおっちら当時使っていたボロボロのママチャリを走らせました。そうそう、このママチャリは、元住吉の庶民的なステーキ店「1・2のさんきち」で修行をしていた若い兄ちゃんから譲り受けたもの。一度警察に止められたことがあって、私の所有物でなかったため、その証明のため店に電話してもらったり、大変だったことを思い出しまた。で、税理士のご自宅には大きなモルモットが2匹いたのですが、まあこんな話でどうでもいいかも・・。ただ、この時に領収書をスクラップブックに貼って整理する方法や、確定申告のちゃんとしたイロハを教えていただいたのです。

年金も未払いだった

税金問題など、お金もちの話だろう、とずっと思い込んでいたのですが、いざ「お金持ち」になって勉強したら、お金がない時こそ知っておいた方がよかったことばかりであることに愕然としました。

年金もそうで、お金がなかった時期に無視して未払い期間が3年も残ってしまった私です。この時の無知を、いざ還暦を迎えてから後悔してももう遅い。あの時期に年金を支払わずとも、手続きだけをしていれば・・・。

両親が税や年金についてちゃんとした知識をもっていればよいのでしょうが、そうでない場合、学校以外に教わる場所も、教えてくれる人もいないのが現実。しかし学校では教わらない。税も年金も政治も・・・、お金全般そして性のことも、要するにちゃんと生きていくために本当に必要なことは、学校じゃ何一つ教えてくれないんですよね。

なんとかならんですかねぇ。

そして石原さん

荒俣さんのシリーズ本は、毎月1冊ずつ1年に渡って出版されました。これが出るたびに、受け取りがてら、ちょっとお酒に誘ってもらったりしたんじゃないでしょうか。ちょっと記憶が薄い。全巻出た以降は、お会いする機会も少なくなって、次第にお互い連絡もとらなくなりました。

そうこうする内、何年かぶりに石原さんから、「お金持ち向けの雑誌を作っているから取材を頼みたい。ついては、ハウステンボスに行こう。」と電話がありました。ハウステンボスと中で営業しているフレンチレストランの取材。風景、料理、シェフの写真撮影。ライターさんはいなかったので、文章は石原さんが書いたのでしょう。

でも、この時の石原さんはなんとなくお疲れな感じでした。なんのこともない時に遅刻してみたり、昼の空き時間は一人ボートの上で本気で熟睡していたり・・・。いろいろあるんだろうな、とは思いつつも、深い話を聞くこともできず。

この仕事が終わってからは、一度もお会いしないづくですが、10年くらい前にVRパノラマの相談で伊藤俊治さんにお会いした時、「石原さんは元気ですか?」と聞いたら「元気だよ、なんで」と返されたので、お元気なんでしょう。なんか、いいタイミングでお会いできる機会があれば、「石原さんのお蔭で私はちゃんとした人としての人生を歩むことができるようになり、ひいては写真道場も開くことができました。本当にありがとうございました。」と、平身低頭、お礼をお伝えしたいのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です