オリフィス流量計

流量計を調べ直して、ああ、そうだったそうだった、と思い出すことばかり。上のような円盤(オリフィスといいます)をフランジに挟み込んで、パイプをつないでいたぁ・・。脱硫装置以外に、発電プラントの多くのところで使われてた流量計なので、本当になつかしい。

流量計自体は前回紹介したような器械で、理屈は「ベルヌーイの定理」で高専の時にがっつり勉強したものではあったので、見直せばそうだった程度のにはわかるのですが、さて、係数はどうやって得ていたのか、これが思い出せません。37年も前のことだから、まあいいか。

でも、空気圧を使った流量計は基本的にこのような「差圧」を使うタイプでしたので、我が使命にもこれを使うことは、基本的には誰もが想定していました。私も、これ以外にはないと。しかし、問題のカセイソーダを送るでっかいパイプに、この円盤(オリフィス)を付けるのは無理。抵抗が大きくなりすぎることだけでなく、カセイソーダの中に、スラリーと呼ばれる微粉末が含まれていて、オリフィスが磨耗してすぐに使い物にならなくなる、といった問題があったから(のはず)です。

では、どうする・・・。

装置の配管の設定を記した系統図を穴があくほど(でもないけれど)見直し、現場になんどもなんども足を運ぶ内、パイプが装置の4階くらいを通る箇所に、直径を絞った箇所があることに気付きました。直径20せんちくらいなのが、ある部分だけ15センチ程度になっているのです。無駄なものはないはずの装置なのですが、この絞りがなんのためにつけられたのかは、不思議と記憶にありません。

 

 

ベンチュリ管という名があった

パイプに絞りがある、つまりここで「差圧」が生じる。ならば、これから流量を得ることができる。とまあ、これだけの話ですが、今、改めて調べてみると「ベンチュリー管」っていうのですね。今の今まで知らなかった、と思うのですが、忘れただけかもしれません。

ところで、オリフィスを取り付けて差圧をとるのは当時の常識でしたが、ベンチュリー管を使った方式は坂出発電所では無かったはず。

なので、ちょっと物分かりの悪い先輩には、「差圧はオリフィスを使ってとるものじゃ。そんな方式ではちゃんとできん」とかいわれたりしたのですが、ここでも助け船を出してくれたのは長井さんでした。

まあ、そんなわけで、仕組み自体は頭の中でできました。しかしまあ、実際にうまく計測できるかどうかは、実際に工事をしてみないとわかりません。本当は、コンパクトな装置を作って実験してみればよかったのでしょう。というのも、今になって思うこと。

計測係としても了解がとれ、保修課としてもOKがでて、あとは、本店の了解を得るのみ。いやあ、本店の担当は怖かったなぁ。なんとなく所内的にも本店の人には頭が上がらないような雰囲気があったし、直接お会いしたこともない方と、あんまり自信のない工事の説明を、駆け出しの私が電話でするわけですからねぇ。毎日毎日ビクビクしていました。

とまあ、いろいろOKがでて、実際に工事を担当する会社の方々の協力を得ながら、工事の計画を立て、設計し、伝票を書いて、やっと工事が始まったのは、話が出てから半年くらいすぎていたんじゃないでしょうか。

そうして、工事が始まる。ペンチュリの部分の穴を開け、流量計をつなぎ、空気圧を伝えるための直径5mmくらいの銅管を現地から数十メートル離れた制御室まで送る。制御盤の上部中央に、左右のパイプの流量を表示する計器を取り付けました。もちろん作業をしたのは、業者の方ですが。

いろいろ全ての工事が終わって、さて、いよいよ試運転です。

流量は確かに表示されています。よかったよかった。で、問題は、ここで流量を止めた時。表示された流量はただしく変化するだろうか?

じゃ、やりますよ。で、ポンプを止めて流量をゼロに・・。

目盛りは・・・。

あれ?

変化しないんですよ。これが。

あれ?

で、十数秒経ったころ、じわじわと目盛りの針が動き始めました。ゆっくり、ゆっくり。

あ、空気だもんね。圧力で縮む。粘性がある。あっちで圧力が下がったとしても、数十メートルある細長い銅管を伝わって、こちらまで圧力が変化するまでには、そりゃ、時間がかかるわ・・・。

と思ったところで、あとの祭り。

・・・・・

この後の記憶がさっぱり抜け落ちています。いや、失敗したからお前は降格、とかそんな話にはまったくならず、始末書とかでもないのです。それで何らかの対策をした、という記憶もありません。それでよし、という話にもなっていないはず。で、とにかく覚えていないのです。

翌年、私は会社を辞めることになるのですが、これとも全く関係ありません。

しかし、何年かに一度くらいの頻度で、この件を思い出すことがあり、記憶がないよなー、と反芻してしばらくして忘れるということの繰り返しが、37年。

で、やっと先日、空気圧じゃなくて、油圧にすれば、ほぼ一瞬で圧力が届くはずだよな。油がだめなら水でもいいし、他の液体でもなんでもよかろう。流量計自体は空気圧タイプしかないとしたら、直ぐに空気圧から油(液体)圧に変えて、長い銅管部分だけ液体にして、表示部分はまた空気圧に戻してもいい。なんらかの手だてはあったはずじゃないか。

という解決方法を思いついた、という話。本当にうまくいくかどうかはわかりません。でもまあ、やっと心の中に残っていたシコリのような、喉に刺さった魚の小骨、指先のささくれがやっととれたような、そんな気分。これで爽快! とまではいかないけれど、なんかちょっと安心して前に進めるような。

しかしまあ、他にもたくさんあるんですけれどねぇ。こんな話。

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