でもまあ、とにかくは初めてみないことには話も始まりません。
▼ステップ・レフ板を作る。1 |
レフ板(れふばん)という言葉を聞いたことがあるでしょうか? なんだか専門用語のようですが、日本語に直すと「反射板」です。要するに、白い紙などを使って、光を反射し、商品の影の部分などを明るくしたりする小道具の一つです。 てっとり早いところでは、白紙や白布を段ボールなどに貼るだけでも結構です。文具店などで白いスチレンボード(ハレパネなど)を購入してもいいでしょう。 レフ板の大きさは、撮影する商品の3倍くらいが一つの目安です。例えば、10センチ角くらいの商品でしたら、30センチ角ほどのレフ板があれば、たいてい間に合います。これを目安として、一回り大きいサイズと小さいサイズを作っておけば、万全です。 下の写真のように、二つ折りができるようにしておくと、レフ板を自立させることができるので大変便利です。
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スチレンボードに白紙を貼って自作。 | 二つ折りにすれば自立します。 | このようにしても自立します。 |
▼ステップ2・レフ板の効果を知る。 |
さて、レフ板の準備はできましたか?
では早速、その効果をご自身の目で確認してください。できれば、実際に撮影して、その写りを比較してください。
右側から蛍光灯RIFA で照明しています。 室内照明は消灯します。 |
こちらから見て、福助の 左側にレフ板を置くと・・・。 |
画面左側の影が明るくなっ ていることがわかります。 |
なんだ、たったそれだけ? とお思いになる方は少なくないはずです。 でも、これが、これこそが写真写りを大きく変える要(かなめ)なのです。そしてできれば、レフ板の角度や向きを調整して、影の明るさの変化を調べてみてください。
▼ステップ3・レフ板の意外な効果。 |
レフ板で光を反射して影を明るくする、というだけなら小学生にだって理解できるでしょう。では、その写真写りにおける意味とは何か、を少し考えてみましょう。 写真A〜Cは、先の福助と同じ要領で撮影したものです。
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A 右側から照明しています。 | B レフ板を使うと・・・。 | C 高級感が増したような・・・。 |
ここで、写真Aと写真Bをしっかり見比べてください。 少し細かくいうと、布地の織り目の荒さの見え方が違うこともわかるはずです。布地の織り目のそれぞれに落ちる細かな影が明るくなることで、織り目そのものが細かくさえ見えます。 話はずれますが、女性ポートレート撮影で大きなレフ板を使うのも、これと同じ仕組みです。つまり、レフ板で影を明るくすることで、肌の凸凹が目立たなくなり、きめ細かな肌をしている(かのように?)写すことができるのです。 さて、金でできた高級なブレスレット、というのは全くの嘘でして、金メッキのキーホルダー(焼酎を買ったらオマケでついてきました)を注意深く見てください。 レフ板を使っていない写真Aでは、金色の粒々に黒い部分が目立ちますね。この黒は何かというと、影ではありませんで、室内の暗い部分が写っているのです。それぞれが小さな小さな丸い鏡のようになっているせいです。 レフ板を使うことで、この黒い部分にレフ板の白を写し込むことができます。そうすることで初めて、写真Cのように金色が、黒ではなく金色として写真に写るのです。 どうですか? レフ板を使う醍醐味が少しは見えてきましたか?
▼ステップ4・照明機材の注意。 |
A 内蔵ストロボで撮影したもの。 |
B 室内蛍光灯で撮影したもの。 (ホワイトバランスに注意) |
C 蛍光灯RIFAを商品の手前上方にセットして撮影したもの。 |
内蔵ストロボを使って撮影した写真Aでは、商品自体の立体感が失われ、さらに後方に強い影が落ちています。と同時に、誰にでも撮れる写真のイメージですから、商品が貧乏くさく見えるのですね。(これは人物撮影でも言えることです。) 室内蛍光灯で撮影した写真Bは、実物を目で見ているのとほとんど同じです。ですが、意外なほど美しく写ります。ただ、これ以上に工夫する余地がないのが難点です。 写真Cは、RIFAを商品の手前上方にセットして撮影したものです。このままでは室内照明の方が綺麗と思われる方は少なくないでしょう。しかし・・。
▼ステップ5・RIFAの位置を変えて撮影してみる。 |
ここでは照明の位置で、光と影がどのように変わるのかを見てみましょう。
画面右側から照明しています。 | 画面左側から照明しています。 | 真上から照明しています。 |
RIFA(リファー)は、コンパクトで軽量、しかも非常に柔らかい均質な光を発する照明器具です。手持ちでも結構ですから、商品をさまざまな方向から照明してみてください。そして、実際に撮影し、その結果を見比べてください。 いい感じなのもあるでしょうし、ちょっと問題ありだなぁ、と思えるカットもあるでしょう。 でも、その中から最良のカットだけを公表すればいいのです。従来のプロ写真家がやってきた仕事の多くは、ここにあります。
▼ステップ6・レフ板ありやなしや、それが問題だ。 |
最終的に、このMOドライブの撮影で、私自身がいいな、と思えたRIFAの位置は、商品の真上から少し奥にもっていったところでした。その撮影シーンが、こちらです。 手前の左右にレフ板を置いています。
その結果が下の写真A。 悪くありません。というよりも、十分に満足できる結果です。
A | B |
でも、ものは試し、というよりも比較写真を準備するためにレフ板なしを撮影してみたのが、写真Bです。 見比べてみて、皆さんはどう思われますか? 私自身は、この写真の方が、画面全体の透明感があり、なおかつ商品の実存感があっていいように思ったのです。そしてまた、ボディのギザギザが写真Aよりも際立って見えるのもカッコいいと感じました。レフ板を無くすことで、ギザギザの影が強調されたのですね。 もっとも、このあたりこそが、商品のどこをどのように強調したいか、といった哲学に通じていますから、たいへんに難しいのですが・・・・。というのは、このページの全ての作例を並べてみるなら、それぞれに一長一短があるのです。 先に内蔵ストロボ撮影はしないのが前提と述べましたが、貧乏くさいイメージで見せたいなら、内蔵ストロボ撮影をすれば済む、という話でもあるのです。世の中の商品全てが、高級でなければならないという話ではありませんものね。 しかしながら、RIFAを使えば、商品のどこをどのように写真で表現するか、をご自身でコントロールできるようになる事実だけはご理解頂けたのではないでしょうか? さて。商品撮影入門は、ここで一息つきます。
次回は、デジカメそのものの使い方のさまざまを紹介していきます。
乞ご期待。
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