
9.デジタル写真の広がり。
1. ごあいさつ
今回は、デジタル写真の広がりを紹介しながら、デジタルカメラならではの問題について、その解決方法をご説明していきましょう。
2.いろいろ使えるデジタル写真
デジタル写真は、Webサイトで公開したり、プリント(印刷)したり、パソコンで加工するなど、さまざまな利用方法があります。
画像データをどのように使うかに関わらず、とりあえずカメラの最高画素数で、最高画質で撮影しておきさえすれば、後はなんとかなる・・・・。
確かにそれはそのとおりなのですが、作業の全体を振り返ってみると、最高画素数・最高画質の組み合わせだけが合理的ということではありません。では、どのような組み合わせが適切なのでしょう。「2.画素数と画質の知識」にも紹介しましたが、今一度、画素数と画質の組み合わせを整理しておきます。
Webで公開する。モニタに画像を表示する。
一般的なパソコンのモニタ(XGA 1024×768)の画面の画素数は、約78万画素、画質の良いモニタ(SXGA 1280×1024)でも、約130万画素です。また、一般的なテレビモニタの画素数は約30万画素、ハイビジョンでは約150万画素です。
つまり、パソコンやテレビのモニタで写真を表示する場合は、高画素である必要が無いということです。Webで公開するのであれば、パソコン画面に占める画像の比率を考え、画素数を少なくするのが効率的な考えです。
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縦位置の写真なら画面の半分くらいに表示されますので、それだけ画素数は少なくて済みます。
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モニタでの表示の場合、カメラの設定で最小画素数に設定で十分です。
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Webやメールで画像データを転送する場合には、ファイルサイズが小さくなるBASICモードが適しています。
プリント(印刷)に使う
家庭用プリンタでA4サイズのプリントには、理論上、約300万画素で十分です。A5サイズのプリントならA4の半分で150万画素。はがきサイズ(A6)で75万画素もあれば写真画質が得られます。思いのほか、画素数は少なくても良いと言えます。
ただ、業務用の印刷は網点と呼ばれる特殊な技法で画像を作っていますので、良好な画質を得るには家庭用プリンタの1.5倍程度の画素数が必要と言われています。
記録サイズ(画素数)の設定はプリントサイズを考え、適切な設定にしておくのが合理的です。
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普通のプリントだけでなく、画像データから写真集が作成できるサービスもあります。
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プリントの大きさによって、記録画素数を変えるのが合理的です。
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プリントは階調再現がよいので、画質モードはNOMALがおすすめ。
画像データを加工(編集)する。
デジタル画像の編集ソフトを使えば、画像を明るくしたり色を変えたりする画像修整だけでなく、合成したり文字を入れたりなど、さまざまな加工ができます。
ただ、画像加工の多くは、画質の低下を伴います。このため、撮影時にできるだけ良好な画質で撮影しておけば、画質低下が目立たずにすみます。
加工による画質の低下をなくしたい場合には、RAWデータで記録します。この詳細については、「9.3. RAWデータを使う」で紹介します。
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画像編集ソフトを使えば、さまざまな画像加工ができます。
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画像サイズは、写真の使用目的(大きさ)に合わせて選択します。
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画質モードをHIGHに設定しておけば、画質の低下が目立ちません。
3.キレイな色で写すには ?
デジタルカメラのAUTOモードは、被写体や撮影条件に応じて撮影できる機能です。しかし、条件によっては、見た目とは違う色、意図していない色に写ることがあるかもしれません。
また、デジタル画像をプリントすると、パソコンのモニタと違う場合があります。
このような問題を感じた時の解決方法を整理しておきます。完全に望みどおりの色を再現することは困難ですが、調整することはできます。
まずカメラの設定を確認します。
写真の色が見た目と違うと感じたら、最初にカメラのホワイトバランス機能を確認します。光源の種類に合わせてホワイトバランスを設定するだけで、色が正しく再現されるようになります。それでも上手くいかない場合には、白紙などで白の基準を設定する「プリセットホワイトバランス」を試してください。
色の淡さや濃さは、露出補正によっても変わります。ホワイトバランスを調整した後に、露出補正も調整すると良いでしょう。
また、色の鮮やかさなどのニュアンスは、「仕上がり設定」である程度変えることができます。
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ホワイトバランスの設定で、色の問題の多くが解決します。
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露出補正で、色の淡さ・濃さが変わります。
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鮮やかさ・渋さなど色の微妙なニュアンスを変えるには「仕上がり設定」を使います。
「カラー設定」の知識。
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カラー設定は、人物主体ならモードI、風景主体ならモードIIIを選びます。
ニコンDシリーズのカメラには、画像の色再現を性格づける「カラー設定」と呼ばれる機能があります。選択肢は3つで、人物の肌などを、自然な色合いで階調豊かに再現するモードI、青空や木々の緑、画像データをパソコンなどで加工するためのモードII、人物や風景などさまざまな被写体を、鮮やかな色合いでくっきりと再現するモードIIIとなっています。
モードIとモードIIIは、いずれもsRGB(スタンダード・アール・ジー・ビー)色空間に対応しています。sRGB色空間とは、ほとんど全てのパソコンモニタやプリンタも採用している色の範囲のことで、特殊な設定をすることなくキレイな色を再現できます。
これに対してモードIIは、AdobeRGB(アドビ・アール・ジー・ビー)色空間に対応しており、sRGBよりも鮮やかな色も再現できる特徴があります。ただ、これに対応しているパソコンモニタやプリンタは機種が限られており、さらにアプリケーションやプリンタドライバなどの設定を正しく行わないと、本来の鮮やかな色調を得られません。これらの設定をカラーマネジメントといいます。
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この図は、色空間(カラースペース)を簡単に示したものです。左の一番大きい円が、人が見ることのできる色の範囲の広さ(色空間)を示しています。中央がAdobeRGB、右がsRGBの扱える色の範囲です。
写真(sRGBやAdobeRGB)は、人が見える色の範囲(左)の一部を再現しているに過ぎません。また、AdobeRGBの方が、sRGBよりも少しだけ鮮やかな色を扱うことができます。
モードIとモードIIIは、sRGBの範囲の中で、色の配置を少し変えているものと考えれば良いでしょう。
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モードIIを選択した場合には、アプリケーションやプリンタドライバのカラーマネジメントを正しく行う必要があります。
モニタの色を調整する。
パソコンのモニタで見ている色はキレイなのに、それをプリントすると意図しない色になってしまうことがあります。また、自分のパソコンではキレイな色で見えるのに、他のモニタで見ると違う色に見えることもあります。
モニタやプリンタにはそれぞれ個性のようなものがあって、それによって色が違って見えるのです。この個性は、機種によるものだけでなく、個体差や使用環境によるものもあります。
モニタとプリントの色の違いで頭を痛めている方は、まず、モニタの色を正しく調整することから始めると良いでしょう。
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実物、カメラのモニタ、パソコンのモニタ、プリント・・・似てはいますが、それぞれの色は異なります。
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モニタのユーティリティを使って、色再現を調整することができますが、微妙な設定は至難の技です。
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アプリケーションソフトに付属しているモニタ調整機能を使うと、モニタの色再現などを整えることができます。
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モニタの色を調整する機械を「キャリブレーター」といい、精度の高い調整が簡単にできます。
4.RAWデータを使う。
RAWとは「生」という意味で、撮像素子からでていた電気信号をデジタル化しただけのものです。ニコンでは、NEF(Nikon Electronic Format)と呼ばれています。
このデータの特徴と使い方について簡単に紹介しておきましょう。
RAW(NEF)データは、通常のJPEGデータに比較するとファイルサイズが非常に大きく、画像として表示するにも専用のソフトが必要です。しかし、撮影した後にパソコン上で画質を劣化させずに、色や階調などの画質を調整することができます。フィルムカメラに例えるなら、暗室で画像を現像するような作業が楽しめるのが、RAWデータの魅力です。
RAW(NEF)データは、ニコン・キャプチャーNXといったソフトを使って処理します。期間限定ですが試用版をダウンロードできますので、ぜひお楽しみください。
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画質モードで、RAWを選択します。RAWに加え、JPEGデータも同時に記録できるモードもあります。
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RAWデータはパソコンで、このようなアイコンで示されます。
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RAWデータを処理する、ニコン・キャプチャーNXのインターフェース。
RAWデータを処理する。
RAWデータを使えば、露出やホワイトバランスなどの設定を、パソコン上で変更できます。もちろん、画質の劣化はありません。JPEGデータではこの処理をカメラ内で行なっています。RAWデータを最終的にJPEGデータに変更するとしても、カメラ内でJPEG圧縮をしたデータに比べると高画質にすることもできます。
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パソコンで露出調整もできるので、撮影現場で露出に頭を悩ませることもありません。
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ホワイトバランスも後で調整できます。色調を確認しながら設定できます。
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セピア調やモノクロにすることもできます。
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画素数も自由に設定できる他、画像データの形式も選択できます。
ニコン・キャプチャーNXのUポイントを使う。
ニコン・キャプチャーNXには、Uポイントと呼ばれる新機能が搭載されています。
この機能を使えば、画面の特定部分の明るさや色調のコントロールをワンタッチで直感的に行うことができます。フィルム時代でいうなら、マスキングを使った調整のような非常に高度な画像操作が、マウスとボタンの操作だけでできるのです。
まさに絵を描くような感覚で写真のイメージを調整できることに、きっと驚かれるはずです。
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調整したい部分にコントロールポイントを置きます。
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選択範囲を表示すると、効果が及ぶ範囲が示されます。背景だけをワンタッチで選択できました。
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人物に影響を与えず、背景だけを暗くできました。これ以外にもさまざまな調整が簡単にできます。
最後に
写真をデジタル化することで、インターネットを介して全世界に公開したり、知人に画像データを送ったり、写真集を作ったりなど、今まででは考えられなかったようなサービスを利用することができるようになりました。そしてこれからも、さらに便利なサービスが増えていくことでしょう。皆さんは写真を、どのように使いますか?