
8.内蔵フラッシュを上手に使う。
1. ごあいさつ
暗い場所で撮影するのに便利なように、デジタル一眼レフカメラにはフラッシュが内蔵されています。AUTOモードでは、暗い場所で撮影するときに自動的に発光しますので、あまり深く考える必要はないでしょう。今回はこの内臓フラッシュを上手く使うための方法を紹介しましょう。
2.内蔵フラッシュの操作を覚えましょう。
フラッシュ(Flash)とは、「閃光」という意味の英語ですが、これ以外に、ストロボ(商標名)やスピードライト(ニコン独自の名称です)と呼ぶこともあります。
この光の性質と、カメラでの操作を一通り覚えておきましょう。
フラッシュの光とは?
前述したようフラッシュは「閃光」という意味で、雷のように一瞬だけ強く光ります。実際に内蔵フラッシュで撮影すると、パッ!と一瞬だけ明るく光ることがわかります。
注意深い方なら、デジタル一眼レフカメラのフラッシュは、パパッ! と二回光ったりすることに気づかれるかもしれません。最初の発光で試しに照明し露出データなどを得る「プリ(予備)発光」を行っているのです。二度目の発光で実際に撮影しています。
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AUTOモードでは状況に応じてフラッシュがポップアップ(飛び出る)します。
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フラッシュは一瞬だけ光る「閃光」です
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一瞬だけ光りますから、動いている瞬間を止めて写せます
発光モード設定を変える。
フラッシュを、どのように、どのくらいの強さで発光させるか?などを決めるのがフラッシュの発光モード設定です。
もともと一瞬の光ですので、何がなんだか分かりにくいのですが、とりあえず発光モードを変える操作を覚えておきましょう。機種やメーカーによって操作は異なりますが、アイコンは共通しています。(写真はニコンD70、D50、D40などに共通した操作です。)
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表示パネルに、発光モードの表示があります
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フラッシュボタンを押しながら、
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コマンドダイヤルを回転させることで設定を変更できます
発光させないようにするには?
室内や夜景撮影などではフラッシュを使うものと考えている方は多いでしょうが、実際にはフラッシュを使わない方がキレイに写る場合もあります。
夜の撮影の特集です。こちらも参考にご覧ください。
内臓フラッシュを使わないといっても、AUTOモードでは自動的に発光してしまいますので、使わないようにする設定を覚えておきましょう。
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AUTOモードの場合は、
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発光禁止モードに設定するだけです。
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P、A、S、Mモードでは、フラッシュをポップアップして初めて発光するようになります。
3.フラッシュを上手に使うポイント
フラッシュは一瞬だけ光りますから、影のでき方を観察したり、光の強さを直感的に感じることは困難です。このため、予期しない写りになることが少なくないのです。
ここでは、よくある失敗の原因と対策を整理します。
影を想像してみよう。
影は光源の反対側にできることは常識といってよいでしょう。カメラ内蔵のフラッシュでもこれは同じです。内蔵フラッシュから出た光が被写体に当たり、その光によって影ができます。それは構えるカメラの向きによっても異なるのです。
どこに光が当たってどこに影ができるのかを想像するには、少し慣れが必要です。
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フラッシュとレンズの位置が違うため、意外な影(黒線)が写ります
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カメラを横位置にすると、影が身体に隠れます
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カメラを縦位置にすると、人物の横に影が写ります
露出補正は通常どおりです。
フラッシュを光らせて撮影しているのに暗く写ることがあります。これにはさまざまな原因が考えられますが、まず、通常撮影と同じように露出補正機能を試してみましょう。露出補正を+1程度に調整するだけで、明るく写るようになるはずです。
露出補正についての特集です。こちらも参考にご覧ください。
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露出補正を+方向に調整して、再度撮影します
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なんとなく暗い感じに写った場合には、
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明るい写真になりました
もし、露出補正をしても効果がない場合には、内蔵フラッシュの光量の限界を超えている可能性があります。この場合には、ISO感度を400?800など、高感度に設定すると明るく写ります。
「赤目」とは何でしょう?
フラッシュ撮影をすると、人の目の瞳孔が赤く染まって写ることがあります。これを「赤目」と呼んでいます。フラッシュの光が開いた瞳孔から目の中に進入し、網膜の血液の色に染まって反射するために、瞳孔が赤く写るのです。
この現象を防ぐのが、
で示された赤目軽減モードです。
この機能は、本番のフラッシュが光る直前に一度まぶしく発光することで、瞳孔を小さくしてから撮影するものです。とても効果がありますので、ぜひ活用してください。
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の赤目軽減モードに設定するだけで、
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目の瞳孔(黒目)の部分が赤く写るのが、「赤目」です
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「赤目」が目立たなくなります
4.高度な使い方に挑戦する
フラッシュの発光モードを操作すると、さまざまなアイコンがでてきます。今すぐ役立たなくても、それらがどのような機能なのかを覚えておいてください。
いつか、役立つことがあるはずです。
もしかすると、今まで撮れなかったイメージが撮れるようになるヒントになるかもしれません。
「SLOW」モードを使う。
SLOWは、スローシンクロモードといいます。何がスローなのかというと、シャッタースピードが遅いということです。シンクロとは「同調」という意味で、シャッターの開閉とフラッシュの発光を同調させることから、フラッシュ撮影のテクニックにはこの名が付くことが多いのです。
つまり、フラッシュの光はそののままで、シャッタースピードを通常よりも遅く設定することで、その場の光を多く取り込み明るく写せるようになるのです。室内のシーンを自然なニュアンスのイメージで写したり、夜景を背景にした記念撮影で夜景を明るく写すことができます。
この場合、シャッタースピードがとても遅くなることが多いですから、三脚を使用するなどカメラをしっかり固定するのがコツです。
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SLOWモードに設定すると、
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普通に撮影すると影がキツイ写真になります
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影が薄くなり、動きも表現できました
「REAR」モードを使う。
REARは後ろの意味です。通常、フラッシュはシャッターが開いた瞬間に発光するように設計されています。これを逆に、シャッターが閉じる瞬間に発光するのがREARモードです。前ではなく、後ろのタイミングで発光するわけです。
どんな効果があるのかは、写真を見てみると一目瞭然です。
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REARモードに設定すると、
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前進しているのですが、通常モードでは後退っているように写ります
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前方向に動いているように写ります
昼間にフラッシュを使う?
フラッシュは、夜や室内などの暗い場所で使うものと思われがちですが、昼間の明るい場所で使うテクニックもあります。これを「日中シンクロ」といいます。例えば逆光のシーンで影になった人物を明るく写すといったことができます。
AUTOモードでは、明るい場所では発光しません。露出モードをP、A、Sなどに設定し、内蔵フラッシュをポップアップさせることで、明るい場所でもフラッシュを発光させることができます。
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Pモードなどに設定し、フラッシュをポップアップさせます
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逆光(画面左後方に太陽があります)なので人物が暗く写りました
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影になった人物が明るく写りました
※ニコンD70、D50、D40では、電子シャッターを併用しているため、フラッシュ撮影ができるシャッタースピードの速さの限界が、1/500秒までとなっています。フィルムカメラ時代を知る人には、驚きの性能のはずです。
最後に
普段何気なく使っているはずのフラッシュが、実はかなり特殊な光だということがお分かりになりましたか? とはいえ、デジタル一眼レフカメラのフラッシュ撮影は、とても簡単に撮影できるものばかりです。時間のある時に、いろいろなモードを試してみてください。きっと新しい表現の手がかりがつかめるはずです。