『日本カメラ』始めての練成。当時、編集担当だった前田さんから、「なんか連載をやってみない?」と超え駆けされて、企画を考えました。
有名作家の作品を真似て、その意味を考えていこう。という内容を思いつき、右も左もわからないままスタートしたのですが、これが面白くてハマってしまいました。撮影も文章も楽しかった。当時は若かったから、お酒を呑みつつワープロのキーボードをたたいていましたねぇ。富士通の親指シフト。フィルム撮影、多くはモノクロ写真で、フィルム現像からプリントまで、自分でやっていたのです。
日本人作家、とりわけご健在な方の場合、作品を真似て発表するのはいろいろ面倒だよ、という話をいろんな場所で耳にしていたので、木村伊兵衛さん、屋須弘平さんと、大昔の方のみにしました。この1年の連載が上手くいったら、翌年は日本人作家を扱おう、という作戦を立てたました。9回目の木村さんは、そのための順番でもありました。屋須さんはほとんど知られていない方でしたし。
直接的な反応はあまりありませんでしたが、「写真雑誌は真面目ぶった記事が多いので、こういうのは楽しくいいね。風通しがよくなりそうだし。」という声が少し耳に入って、たいへん気をよくしました。そうそう、自衛隊海外派遣の法律が通るかどうか? と国を二分するような論争があって、「牛歩戦術」が世間を賑わしていたころでもありまして、この戦術を、「結局無為の結果にしかならない芸術のよう」といった具合に書いたところ、読者の一人からひどい抗議が届いたのです。まずは編集部あて、そして私から電話をして数時間話合うという・・・。話してもわかりあえないことってあるんだな、という人生にとって重要なことを学んだこともいい思い出です。
以下が、掲載した写真家名です。今、こうして並べると、まさに「当時の写真マニア」しかしらないような方々ばかりです。
1.ニコラス・ニクソン
2.ロバートメイブルソープ
3.アンセル・アダムス
4.ゲリー・ウィノグラント
5.ビル・ブラント
6.ベッヒャー夫妻
7.ケン・ジョセフソン
8.アービング・ペン
9.木村伊兵衛
10.屋須弘平
11.ロバート・キャパ
12.アンディ・ゴールズワージー