写真の「技術」

資料を整理していたら、コダックなどのフィルムやカメラのカタログや啓蒙用のパンフレットのたぐいがごっそりでてきました。写真撮影や処理はデジタル一辺倒になってしまっていますので、これらはもはや無用の長物となりはてているわけですが、それでも、今見直すと懐かしさを超えて、写真の「技術」を学ぶことが、当時はとても面白かったことを思い出しました。 工業高専・電気工学科卒。国語、社会といった文系よりも、はるかに物理や数学などの理系の授業が好き。そうはいっても、化学はまったくもってチンプンカンプンだったので、私の中の写真の技術、というと、光学や工学のカメラ方面に向かうわけで、フィルムや現像の仕組みはあまりわからないづくここまで来てしまったのですが、それでも、相当に勉強しました。 もっとも、フィルムや現像液を開発したり、独自の技法を見いだすことを目...
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2.土門拳『写真批評』『写真随筆』『写真作法』

土門 拳(どもん けん)氏についてはこちら(wiki)。 1909年〈明治42年〉 - 1990年〈平成2年〉、80歳没。 『写真作法』は1976年。『写真批評』は1978年、『写真随筆』は1979年の刊行で、出版社は「ダヴィッド社」。 購入した『写真作法』は1979年の8版、『写真批評』は1980年の4版、『写真随筆』は1980年の2版で、順調に版を重ねています。おそらく、会社勤めが始まり、寮の自室を暗室にして、写真雑誌の月例コンテストに応募していた1981年頃の購入です。インターネットのない時代ですから、「写真」の知識は、雑誌か単行本、あとは写真店の親父くらから入手するしかありませんでした。単行本といっても、雑誌の広告で知るか、地方都市の大きめの書店で探すしかなかったのです。...
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1.人口動態のなかの写真

少子高齢化と人口減少は、耳にタコができるくらい聞いて、聞き飽きて、誰も対して気にしないような話題のようだけれども、ちょっと調べて自分で想像してみるなら、もうね、ほとんど絶望的になります。 人口推移のグラフに写真界の事象を少しだけ書き込んだものが上の図です。人口問題といえば、だいたい戦後のベビーブーム以降が中心的な話題になるのですが、この図のように、鎌倉時代あたりからスタートすると、現在の「異常事態」がよくわかると思います。 明治以降の人口爆発といっていい人口増加は、単純にいえば「産業革命」によって化石エネルギーを使えるようになった恩恵でしょう。「写真」は科学技術の恩恵の一つとして、人口増加に伴って業界ごと繁栄してきたのだなぁ、ということが直感できます。人口が増え、エネルギーは感嘆に豊富に使えるようになれば、多くの人が楽に生きていけるようになる、消費活...
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裏書きする写真論

還暦を機に「未来への手紙」というタイトルで文章をまとめはじめたのが、2021年の4月20日。'23年の10月4日の88回で一旦終了。次のステップとして書き続けたいことはぼんやりあったのですが、どこからどう入ればいいのかわからないまま月日が流れました。 昨年、画像学会の方からお声がけ頂き、『写真は夢を写すか?』をまとめたのは原稿締め切りぎりぎりの6月でしたが、自分的には十分満足できる仕上がりになり、次のステップへ進めそうに思えたのは束の間。しかし結局、ずるずる9カ月ほどが経ってしまいました。 歳もあるんだろうな、と先日64歳になって、この4年で気力・体力の衰えをジワジワ実感することもあります。これに輪をかけて、世の中の変化の速さがもうなんといっていいかわからないくらい、わからないのです。事実、先日開催されたCP+2025に行ってみたのですが、想像以上の華やかさとは裏腹に、...
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