今年2021年3月、めでたく還暦を迎えました。60歳。どこかの国では人生100年時代というけれど、平均的・現実的、さらには自分の親の背中を見ながら考えるにつけ、元気でいられるのはこれから長くて20年と見積もるのが妥当、と考えるのです。これより長かったら、それこそめでたしめでたし(本当にそうなんだろうか?)。短かかったら(よきころあいでなければ?)・・という迷いは常につきまといます。
このまま成り行きで生きても20年。夢を追いかけても20年。昇っても堕ちても20年。どのように生きたところで、後から考えるとまさに刹那の20年、になるはずです。
いやしかし、20年先のことなどまるで考えずに、「ボーッ」と生きてきた60年ではありました。40年前に一度目の就職をしたのですが、後先を考えず3年後に辞職。20年前はカメラ雑誌などの連載を続けながら、この写真道場は7年目くらい。独身。カメラは当然のことながらフィルム。デジタルカメラを使いだしたのは今世紀に入ってからですが、個人的には「おもちゃ」と思っていて、今のような世界は想像だにしておりませんでした。
なので多分にこれは、私の年齢&その背景としての時代、のせいなのでしょう。放っておけばこのまま忘却されてしまうだろう「これまで」を、自分なりに整理しておきたい、と思うのです。40年前には、死してもやりたくなかったようなことを今、自分自身の「これから」のためにやりたくなる、という。
これは喜劇でも悲劇でもなく、私の自然。
願わくば、同時代を歩んできた先輩後輩友人知人の慰めに、さらにはこれからを生きていく見知らぬ後進の踏み石の一つにでも、なってくれればこれ幸い。
基本的に「写真」の話題を中心に、あれやこれやとりとめなく書いていきます。カメラ業界、写真業界が地殻変動を起こして、明日をも知れないのが「今」だとして、10年後、できれば20年後に、笑いながらこの記事を読み直せる日が訪れることを祈りつつ。お読みになる皆様におかれましては、お気づきのことなどありましたら、なんなりとお教えいただければ幸いです。
久門 易
2021年4月20日